レブロン・ジェームズ

レブロンの試合観戦はキャブズ復帰を決めた2014年以来

キャバリアーズは2018年のレブロン・ジェームズ退団を機に再建に入り、プレーオフに戻るのに4年を要した。昨シーズンにプレーオフ進出を果たし、今シーズンにはファーストラウンド突破と、チームは年々成長しているが、ここに来て岐路に立っている。

ドノバン・ミッチェルはあと2年契約を残すが、最終年はプレーヤーオプションであるため、キャブズが拘束できるのはあと1年。今オフ、彼が最大2億800万ドル(約310億円)の契約延長に応じなければ、キャブズは見返りなしで彼が出て行くのを避けるためにトレード先を探さなければならなくなる。

ミッチェルはふくらはぎのケガを抱えながらのプレーを強いられ、カンファレンスセミファイナルの第4戦と第5戦ではプレーできず。第7戦までもつれたマジックとのファーストラウンドも含め、30得点をコンスタントに記録する勝負強さが際立つとともに、彼に続くタレントの不在が印象付けられた。特にバックコートでパートナーとなるダリアス・ガーランドは、ミッチェルが活躍すればするほどボールに触れる機会が減り、積極性を欠く。どちらも『良きチームメート』の2人は強い信頼関係で結ばれているが、コート上で互いの良さを引き出すことができない共存の問題はこの2年間で解決できなかった。

プレーオフが始まる前、ミッチェルは『Cleveland.com』に対して成功の基準を「カンファレンスファイナル進出」と答えている。カンファレンスファイナル進出まで足りなかったのは3勝だが、セルティックスが余力を残してキャブズに勝ったのは明らかで、ミッチェルの基準にはまだまだ届いていない。

キャブズのフロントはミッチェルの入団から常に契約延長についてコミュニケーションを取っているそうだ。彼らはミッチェルがクリーブランドの環境やチームの成長を好ましく受け止めており、契約延長に応じてくれると考えているが、今オフに28歳になるミッチェルにとっては、キャリア自体を大きく左右する今回のフリーエージェントで簡単な決断を下すわけにはいかない。契約内容が自分の実力に見合っているのは当然として、キャブズに優勝争いのできるチームを作る確固たるプランがあるのか、若手の成長を自分のタイムラインに合わせられるのか、そしてガーランドとの共存についても、今オフに回答を求めることになるだろう。

そして、カンファレンスセミファイナルの第4戦で、キャブズのチーム戦略をひっくり返しかねない『事件』が起きた。試合会場にレブロン・ジェームズが現れたのだ。サバンナ夫人と代理人のリッチ・ポールとともに試合観戦に訪れた彼がビジョンに映し出されると、クリーブランドの観客は大歓声を上げ、レブロンはキスでその愛情に応えた。

『ESPN』のブライアン・ウインドホルストはレブロンとの親交が深い記者で、今回の試合観戦について、レブロンは『母の日』に自分と夫人の母親に会うためにクリーブランドを訪れたからだと説明している。だが、ウインドホルスト自身が「故郷に戻ったついでに古巣の試合観戦をしただけとは言い切れない。レブロンは非常に戦略的で、すべての行動に理由がある」と分析している。

レブロンが観客としてロケット・モルゲージ・フィールドハウスを訪れたのは2014年3月以来のこと。ジードルナス・イルガウスカスの永久欠番式典に参加するためだった。この時も、レブロンはただキャリア初期のチームメートへの友情からやって来たと思われたが、その4カ月後に電撃的なキャブズ復帰を発表している。

行き詰まったレイカーズが彼を納得させられるだけの中長期計画を提示できるかどうかには疑問が残る。レブロンは契約最終年を破棄すれば今オフにフリーエージェントとなり、行き先は自分で決められる。息子のブロニー・ジェームズは心臓の問題のメディカルチェックを無事にクリアし、ドラフトコンバインで好印象を残して評価を高めている。3度目のレブロン獲得に成功し、ミッチェルに契約延長を決断させられるのだとしたら、それがヤングコアの放出、そして1巡目20位でのブロニー指名とセットであっても、キャブズ首脳陣にとっては願ったり叶ったりのオフとなる。