アンドリュー・ネムハード

35得点のハリバートン「ギリギリの戦いをしている」

ペイサーズvsニックスは、先の2試合がそうだったように試合の流れが行ったり来たりする激戦となった。ニューヨークでの2試合は、ニックスが終盤に勝負強さを発揮して連勝を収めたが、インディアナに場所を移しての第3戦は、ペイサーズが最後の最後で一伸びして勝利をつかみ取った。

タイリース・ハリバートンは言う。「もう崖っぷちなのは分かっていた。いくら僕らにプレーオフの経験がないとは言っても、0勝3敗になったら終わりなのは分かっている。だから必死だったし、死に物狂いだった」

ペイサーズは前半にキープしていたリードを第3クォーターに明け渡すことになったが、この試合ではそこで踏み止まり、押し返した。第4クォーター残り7分で追い付いた後、6分半で両チームとも7点ずつしか取れない我慢勝負に。ニックスは頼みのジェイレン・ブランソンのシュートが決まらず、フリースローまで落とす。ペイサーズも持ち味であるパスワークが分断され、良いシュートチャンスを作れなかった。

パスカル・シアカムが速攻からイージーレイアップに持ち込み、ブランソンが根性で3ポイントシュートを返して106-106となったペイサーズの攻め。ハリバートンがボールを持つも、ダブルチームを仕掛けられてボールを手放さざるを得なかった。このボールを受け取ったのはアンドリュー・ネムハード。もうショットクロックが残っておらず、打つしかない状況だった。

「ボールを受け取った瞬間は状況が分かっていなくて、タイ(ハリバートン)に『打て』と言われてショットクロックが残り2秒だと知った。それでスペースを作って打ったんだ」とネムハードはこの瞬間を振り返る。

ネムハードは得点力を持ち味にする選手ではなく、シリーズを通じてブランソンを、またドンテ・ディビンチェンゾを全力でマークしながら抑え切れずにいた。だが、この時は役割が入れ替わった。ドリブルを一つついてステップバックするネムハードの動きに、オフェンスで疲労困憊のブランソンは寄せられない。そして、そのシュートはリングの中央を射抜いた。

「練習はやっているから、打つと決まったら自信を持って打つだけだった。大きな試合でのシビれる場面でビッグショットを決める気分は素晴らしいよ」とネムハードは言った。「最後の6分、7分は本当にシビれる展開だった。でも、そこで勝敗を分けたのは、あのシュートよりもディフェンスとリバウンドだ。その前の僕の得点もマイルズ(ターナー)のブロックショットから生まれた速攻だった。大事な局面でディフェンスに集中し、相手を止めた。そしてしっかりとリバウンドを押さえた」

ハリバートンは一番の見せ場こそネムハードに譲ったものの、フィールドゴール26本中14本成功の35得点と気を吐いた。指揮官リック・カーライルは「彼のアシストは我々の大きな武器だが、時には彼自身が得点を狙いに行く必要がある。その姿勢を見せ、実際に決めることで、パスの効果はまた増す」と、ハリバートンの積極性を称えた。

そのハリバートンは、試合後の会見場に足を引きずりながら現れた。「全身が痛いよ」と語るも、そこには笑顔もあった。「ニックスの選手たちも傷ついている。ギリギリの戦いをしているんだ。僕はまだ若いから、次の試合までに治すよ」

ペイサーズのバスケは華やかだが、気力と体力の限界を問うプレーオフではニックスに分があるとの見方があった。それを覆す1勝の価値は大きい。ペイサーズは自信を取り戻し、第4戦へと向かう。