パオロ・バンケロ

「今回はホームというだけで落ち着けた」

プレーオフのファーストラウンド、マジックはキャバリアーズを相手に連敗を喫した。レギュラーシーズンを通して激しいディフェンスでロースコアの展開に持ち込み、接戦をしぶとく競り勝つことで47勝を積み上げたが、プレーオフはまた別物だった。一つ上のレベルに上がった攻守の強度にアジャストできず。敵地クリーブランドでの2試合は連敗しただけでなく96分間を通して一度もリードを奪うことができなかった。

マジックとキャブズはどちらも再建からチームの地力を高めてきた若いチームだが、キャブズは昨シーズンにプレーオフを経験している。昨年の春、レギュラーシーズンでは大して差がなかったはずのニックスのプレー強度に全くついていけず、その悔しさを忘れずにこの1年を過ごしてきたことがマジックとの差を生み出していた。

それでも、オーランドに舞台を移した第3戦にマジックは大きなステップアップを果たした。マジックファンの大声援が響く本拠地キア・センターで、マジックの選手たちは先の2試合をはるかに上回るプレー強度を見せ、121-83の完勝を収めた。

パオロ・バンケロはこの試合を前に「盛り上げてほしい」とファンに呼びかけていた。その彼はシュートスランプを脱し、3ポイントシュート4本成功を含む31得点。さらには14リバウンド5アシストと攻守に活躍した。「ファンの役割はすごく大きかった。良いプレーが出たりシュートが決まるたびにアリーナが沸き立つのは、僕らにとって大きな力になるんだ」

「最初の2試合は相手がファンに支えられていて、僕たちにとってはキツい環境だった。正直に言うと、ボールを持つたびにミスをしてしまうように感じていた。でも今回はホームというだけで落ち着けた。ファンのみんなに助けてもらった」

2つ続けて完敗を喫しても、彼らの自信は揺らいでいなかった。このチームのディフェンスのハードワークを象徴するジェイレン・サッグスは言う。「僕たちのプロセスは間違っていない。負けてもケガ人がいても、逆境に立たされても僕らは誰一人として動じない。そんな仲間たちを僕は誇りに思うよ。望み通りの結果が得られないことはしばしばあるものだけど、それでも僕らは自分たちの仕事にこだわってやっていくんだ」

マジックで唯一の変化は先発センターの交代だった。レギュラーシーズンを通して先発だったウェンデル・カーターJr.に代わってプレーオフではジョナサン・アイザックを先発に据えていたが、キャブズのジャレット・アレンにアイザックの勢いではなくカーターJr.の落ち着きと粘り強さで対抗することに。カーターJr.は25分の出場で2得点5リバウンド。スタッツは目立たないが、指揮官ジャマール・モズリーは「アレンをゴール下から遠ざけるのが彼の役割で、素晴らしい仕事をしてくれた」と称えている。

この勝利にチームもファンも盛り上がるのは当然とも言えた。マジックがプレーオフで勝つのは2020年以来だが、ホームでの勝利となると2011年までさかのぼる。

バンケロは言う。「まだシリーズは残っている。僕が言わなくてもみんな理解しているだろうけど、まずはもう一つ勝つこと。そして次にクリーブランドで僕たちに何ができるかを試したい。プレーオフでの初勝利をホームで挙げたことは大きいけど、僕らはシリーズを勝ちたいんだ」