シーホース三河

3連敗中の悪いムードを払拭する会心の勝利

アルバルク東京vsシーホース三河の第1戦、先行したのはホームのA東京だった。セバスチャン・サイズがダバンテ・ガードナーにタフショットを打たせて得点源をシャットアウトすると、攻めてはゴール下付近で強さを発揮し、第1クォーターだけで8得点を挙げる。さらにダブルチームに来られた際には冷静にキックアウトし、ザック・バランスキーの3ポイントシュートを演出。こうしてサイズを起点に主導権を握ったA東京は安藤周人のコーナースリー、テーブス海の緩急を使ったドライブで得点し、第2クォーター開始2分強で11点をリードした。

しかし、三河のライアン・リッチマンヘッドコーチが「アルバルクさんはサイズもあって、身体も強く、第1クォーターは自分たちのやりたいことがやれなかったでしたが、第2クォーター以降はそこのレベルに合わせることができた」と語ったように、ここからディフェンスを締め直し、オフェンスでもボールを散らして攻守でアジャストしていった。

ガードナーがすぐさま3ポイントシュートをお返しすると、西田優大がポストプレーからズレを作り、角野亮伍がコーナースリーを射抜く。ピンチを切り抜けた三河が1点差まで詰めて前半を終えた。後半に入り西田のドライブで逆転すると、ジェイク・レイマンのコースト・トゥ・コーストも決まり、三河が主導権を握る。このクォーターだけで安藤周人に10得点を許し、詰められる場面もあったが、A東京を上回るインテンシティの高いディフェンスでA東京の強みであるインサイドを封じ、さらにゾーンを併用するチェンジングディフェンスも機能して失点を最小限に留めた。攻めてはA東京とは対照的に7人が得点するバランスアタックでリードを保った。

そして、5点リードで最終クォーターを迎えた三河はガードナーがファーストオフェンスで3ポイントシュートを射抜く。A東京は開始30秒でタイムアウトを取り、立て直しを図ろうとしたが、デイニアス・アドマイティスヘッドコーチが「特にオフェンスの遂行力が非常に悪かった」と振り返ったように、三河のタフなディフェンスの前にオフェンスが沈黙し得点が伸び悩んだ。

こうしてディフェンスからリズムをつかんだ三河は長野誠史がタフなプルアップスリーを沈めると、残り約5分には角野もコーナースリーを決めてリードを2桁に乗せる。残り4分を切った場面には、A東京のローテーションミスを突き、レイマンがディープスリーを射抜いた。13点のビハインドを背負ったA東京は最後のタイムアウトを取ったが、最後まで流れを変えられずに、57-69で敗れた。

A東京は今シーズン最少得点で敗れたが、アドマイティスヘッドコーチは「三河さんは笛が吹かれないギリギリのところで非常にフィジカルにプレーしてきました。そこで我々のオフェンスが狂ったと思います」と、三河の強度の高さに面食らったことを認めた。そして「フィジカル面で負けず、もっとオフェンスでボールをシェアしてアタックし、相手のディフェンスにローテーションさせること。ここを修正して明日に臨みたい」と第2戦に向けて意気込んだ。

一方、三河のリッチマンヘッドコーチは「彼らの強みであるセカンドチャンス、そしてペイントのスコアをしっかりと止めることができたました。自分たちのやるべきことができて、それが結果に繋がった試合だったという風に思っています」と選手たちの遂行力を称えた。

上位陣との対戦が続いたこともあり、3連敗中とチャンピオンシップ出場へ失速していた三河だったが、その悪いムードを吹き飛ばす会心の勝利となった。