津屋一球

田中大貴の負傷離脱をきっかけにローテーションを勝ち取る

サンロッカーズ渋谷の津屋一球は三遠ネオフェニックスから移籍してきた昨シーズンはコンスタントに出場機会を得て、29試合に先発起用された。ただ、今シーズンは1月が終わるまでベンチスタートばかり。「ローテーション外から始まった」と本人も振り返る。

その立場が変わったのは、主力の負傷がきっかけだった。田中大貴というBリーグを代表するシューティングガードの離脱により、津屋にチャンスが巡ってきた。

「大貴さんが抜けても、スタートになるとは思っていなかった」と津屋は言う。驚きとともに、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの指名を聞いたが、「自分がスターターになった時は絶対に勝ちたいと思った」。その2月3日の第21節・茨城ロボッツ戦で、そのとおりチームは勝利。津屋も33分26秒のプレータイムで12得点を記録。この一戦が彼に自信を与え、その後、田中の復帰後もスターターの座を明け渡すことなく現在に至っている。

コート内で際立つのは、外からのシュートよりも彼のタイトなディフェンスだ。「相手のキーマンに付くことが多いけど、その分責任を持って、自分が止めればみんなが楽になると思ってやっている」。ただ、「自分がやられても大貴さんやアキさん(アキ・チェンバース)たちがいると思って、気楽にアグレッシブにやれている」とも。その田中、チェンバース、そして盛實海翔という近いポジションの3人は試合中に津屋へよくアドバイスを送ってくれるという。チームメートの温かい言葉は、彼の背中を押し、アグレッシブな守備を引き立てている。

SR渋谷は中地区で首位を走る三遠に連敗を喫したものの、その後は信州ブレイブウォリアーズ、そして秋田ノーザンハピネッツに2勝して3連勝を達成。アウェー2連戦での連勝は今季初めてのことだった。また、シーホース三河、川崎ブレイブサンダースという順位を争うライバルが連敗を喫したことで、2位の三河と3ゲーム差の3位まで浮上。「大事な終盤の時期に、ガチッとチームが固まった感じがある」と津屋も言う。

2位以内なら自動的にチャンピオンシップ(CS)進出が決まるだけに、右肩上がりのSR渋谷が7日、8日とホームで戦う京都ハンナリーズ戦は「CSに向けては何がなんでも取らなければならない試合」(津屋)になった。チームの根幹にあるのは、アグレッシブさでは絶対に負けないというスタンダード。津屋も京都戦に向けて「スタートから出れば、相手のキーマンをちゃんと止める」と意気込む。

津屋自身、これまでCSに出場したことはない。「目の前にチャンスが転がっている。絶対につかみとりたいし、そのまま優勝までいきたい」。SR渋谷に加入して2シーズン目。「会場のみなさんの一体感はすごいし、個人的にも応援してくれるファンの方もいる」。チームの前向きな雰囲気も感じ取っている。シーズン途中まで苦しんだが、現在の津屋は間違いなくSR渋谷に不可欠なワンピースとして輝いている。