「オフェンスであれだけミスをしたら、それでは勝てません」
B1第29節、秋田ノーザンハピネッツは、同率で並びチャンピオンシップ(CS)出場を争うライバルのサンロッカーズ渋谷に同一カード連敗を喫した。
タレント揃いのSR渋谷を相手に2試合の平均失点は67。フィジカルなディフェンスを信条とするチームの誇りが垣間見えた。秋田の前田顕蔵ヘッドコーチも「本当に最後までやってくれた。ファイトしているのも、もちろん分かります」と、ハードワークした選手たちの『姿勢』については評価した。しかし、2試合合計でターンオーバーは32を数えたように、以前から課題となっていたミスの多さに落胆の色を隠せなかった。
「自分たちの本当に容易なミス。オフェンスのミスで自分たちの首を絞めてしまった。勝たないといけない本当に大事な一戦で弱い部分が出てしまう。そこがすごく歯がゆいし、悔しいです」
第2戦は特に失点に直結するミスや、自分たちが優位な状況でのミスが目立った。前田ヘッドコーチは具体的にそのシチュエーションを挙げ、ターンオーバーについて言及した。「やられたというより、相手にボールを渡しているので自滅ですよね。良いスクリーンがかかってスティーブ(ザック)が空いているのに、そこにパスが出せない。アウトナンバーを作っても、オープンなところにパスが投げれずに得点できない。逆に変なところにパスをしてスティールされて失点したり。オフェンスでのミスが多過ぎます。オフェンスであれだけミスをしたら、それでは勝てません」
これだけミスが多かったにもかかわらず、最終スコアは63-65だった。これが2桁点差以上の敗戦であれば仕方がない。だが、わずか1ポゼッション差での敗戦となれば、その結果を簡単に受け止めることはできないだろう。だからこそ、前田ヘッドコーチも素直に悔しさを滲ませた。「どう考えても、この内容では絶対に勝てません。でもそれで1ポゼッション差の試合をしているという、そこにすごく悔しさを感じます。一つひとつの重みを全員が理解してやらないと、接戦はモノにできないのかなと」
2戦平均で15.0得点を挙げ、安定した活躍を見せた古川孝敏も「非常に残念で悔しい試合だった」と言い、前田ヘッドコーチと同様の見解を示した。「リードされる中でも我慢しながら食らいつきましたが、最後の最後で自分たちのミスが重なりました。オフェンスのシンプルなターンオーバーで持っていかれた部分が一番痛いです」
古川「5人で表現できなかったところがある」
CS争いで一歩後退してしまった秋田だが、もちろんCS進出の可能性はまだある。だが、シーズンは佳境を迎えているだけに、課題を修正して成長を目指すなど悠長なことは言っていられない。だからこそ、上位チームを破った成功体験を思い出し、自分たちの理想とする姿を体現する必要がある。前田ヘッドコーチは言う。
「(敗因について)経験の差かと問われましたが、経験は十分に積んできたと思っています。
どうやって琉球(ゴールデンキングス)に勝ったのか、どうやって宇都宮(ブレックス)に勝ったのかを考えた時に、そんなミスはしていないんです。自分たちが勝っている試合で何を積み上げてきたのか。落ち着いて自分たちがしないといけないことを5人が共通理解を持ってやるしかありません」
古川も「5人で表現できなかったところがある」と共通理解について言及した。「SR渋谷さんはしっかりチームとしてどうやるかというのが明確になっていると思います。みんなのアグレッシブさは出ていましたが、ただ、それをどう5人でやるかという部分で明確になっていなかった。共通認識を持った中で、お互いの良さを出せるように、全員で助け合いながらやることが大事だと思います」
落ち込んでいる時間はない。明日からはリーグ最高勝率を誇る宇都宮ブレックスとの対戦が待っている。今シーズンは2度対戦し1勝1敗。厳しい状況に変わりはないが、ここで良い結果が出せれば、最終盤戦に向けて弾みがつく。内容よりも結果にこだわる戦いがこれから続いていく。
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