クレイ・トンプソン

スタメンを外れたプール「僕は挑戦を受け入れる」

現地2月27日のウィザーズvsウォリアーズは、やる前から結果が見えていたような試合だった。ウォリアーズは不完全燃焼な戦いぶりから脱却して攻守が噛み合い、11試合で9勝と好調でプレーオフ圏内を目指している。ウィザーズは11連敗中と底が見えない。ウィザーズはカイル・クーズマを中心に前半は互角の勝負を繰り広げたが、第3クォーターにクレイ・トンプソンに3ポイントシュート成功4本を含む13得点を奪われるなど圧倒され、このクォーターで38-17と突き放されて敗れた。

ステフィン・カリーのシュートタッチが良くなかったこの日、チーム最多の25得点を挙げたのはクレイ・トンプソンだった。今シーズンの彼は不調が長引き、先日からベンチスタートに回された。カリーとともに『スプラッシュ・ブラザーズ』としてチームに黄金時代を築いた彼には厳しい現実ではあるが、セカンドユニットの得点源として再起しつつある。

ウィザーズにも、エースを務めるはずがベンチスタートに回された選手がいる。開幕前にウォリアーズから移籍して来たジョーダン・プールだ。優勝候補のウォリアーズから再建チームのウィザーズへとチームが変わり、彼はエースの役割を担うと意気込んだが、常勝チームでのプレーしか知らない彼はウィザーズへの順応に苦しんだ。今の彼はシュートがエアボールになったり、パスミスをしたり、フロアで足を滑らせて転んだりすると、その動画が嘲笑のアイコンとともに拡散される。若いプールが落ち着いてプレーを続けるにはかなり厳しい状況にある。

ただ、このウォリアーズ戦で彼の気持ちは少なからず慰められたはずだ。試合が終わるとまずは指揮官のスティーブ・カーを始めとするコーチ陣が、そして多くの選手がプールに歩み寄ってハグし、励ましの言葉を掛けた。その一人であるクレイは試合後、プールについてこう語っている。

「彼は2022年のプレーオフでシックスマンを務めた。その経験がプラスに働くと思う。再建中のチームだから、引っ張る立場にある彼には多くのものが求められる。大変だろうけど、努力し続けることだ。彼ならきっとやれる。まだ23歳、十分すぎるほどの時間がある。僕はジョーダンのことが大好きだ。素晴らしいシーズンが待っていると思うよ」

オールスター休暇明けに先発を外れて4試合が経過した。プールは「50試合近くプレーしてきて、選手の起用法が変更されて僕も先発ではなくなった。多くのことが変わったから、連携が今までとは異なってくる」と難しさを語る。だが、セカンドユニットの得点源という新しい役割は、得点を奪う仕事にフォーカスできる。クレイはそれでリズムを取り戻し、プールにも同じことが期待されている。プールはスタメンで出場することに固執せず、ベンチを受け入れている。「僕はプロだ。チームに求められる役割は何でもやる。常に自分のベストを尽くしてチームの勝利に貢献したいんだ」

プールはどん底から抜け出そうとしている。「不安定な環境で安定したプレーをするのは難しい。でも、僕は挑戦を受け入れる。それでこの流れが変わるのを願うしかない。自分にコントロールすることだけをコントロールしていくんだ」