デニス・シュルーダー

「チームとして勝つことだけを考えている」

ネッツは20勝31敗と、勝率5割を目途とするプレーオフ進出ラインが遠のいている。トレードデッドラインには、ロイス・オニールをサンズにトレードして将来の指名権を確保した一方で、ミケル・ブリッジズに複数届いていたと言われるオファーをすべて断り、ニコラス・クラクストンやドリアン・フィニー・スミス、キャム・トーマスも放出しなかった。つまり、プレーオフ進出はあきらめないが、将来に向けた資産は確保していくという『二兎を追う』姿勢を打ち出した。

ショーン・マークスGMは「チームの将来性は常に意識しているが、今シーズンの目標はプレーオフ進出で変わりない。このチームの可能性を信じている」と語る。

ネッツで一番の変化は、スペンサー・ディンウィディーとのトレードでデニス・シュルーダーが加わったことだ。ネッツではケガから復帰したベン・シモンズがポイントガードを務めているが、とにかくケガの多い彼がどれだけプレーできるかは不透明で、シュルーダーとの同時期用、あるいは2人のタイムシェアでオフェンスは安定する。シュルーダーの得点力はもちろん、ブリッジズやトーマスの得点力がより引き出されることに繋がるだろう。

ディンウィディーは契約延長交渉がまとまらず、自分の将来がネッツにないと悟ってからモチベーションを失っていた。それとは対照的に、ブルックリンにやって来たシュルーダーは自分の置かれた状況が何であれ勝つことだけを考える『ブレない男』だ。

シュルーダーはホークス、サンダーとキャリア初期は順調なステップアップを見せたものの、レイカーズでプレーした2020-21シーズン以降はジャーニーマンとなっている。昨年のワールドカップではドイツ代表の優勝に貢献し、大会MVPに輝いており、実力があるのは間違いない。ただ、チームの中心に据えられなければ機能しないタイプで、レブロン・ジェームズと一緒にプレーしたレイカーズでその弱点が露呈した後は、どこに行っても十分な役割を与えられずに力を発揮しきれていない。

今シーズンはラプターズと契約して13.7得点、6.1アシストを記録するも、出場51試合のうち先発を任されたのは33試合だけ。チームの絶対的な存在にはなれなかった。その彼はネッツで新たなチャンスを得られることに興奮している。

移籍は寝ている時に代理人からの電話で知ったそうだが、「新しい街に行き、新しい環境に入るのは大変だけど、バスケでメシを食っていることに変わりはない。結局のところ、勝つために努力するだけさ」と彼は語る。

「チーム状況にかかわらず、僕はいつもチームを優先するし、勝つことを追い求める」とシュルーダーは言う。「僕はいつだって誰に対しても率直でありたいし、みんなも僕にそう接してほしい。僕に求めることがあれば何でも言ってほしいんだ。そうやってチームとして勝つことだけを考えている」

「どのチームに行っても、僕はただ勝ちたいだけ。個人としてではなくチームとしてそれを成し遂げたい。そのために状況がどうであれチームメートに声を掛け、チームを良くしていきたい。僕はドイツの小さな街の出身だから、ニューヨークに来るたびに大都会だと思う(笑)。渋滞には悩まされるだろうけど素敵な街だ。ブルックリンは特にね。ここでも一日一日を大切にして、一つでも多く勝てるよう頑張るよ」

シュルーダーは現地2月10日のスパーズ戦で、ネッツでのデビューを果たす予定となっている。