「ディフェンスが崩されて、オフェンスのリズムがつかめなかったです」
女子日本代表はFIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)の2試合目でハンガリーと対戦、勝てばパリ五輪の切符をつかめる中、ティップオフから12-2のランと最高のスタートを切り、第2クォーター終盤まで2桁のリードを保った。しかし、開催国であり、圧倒的な観客の声援を受ける、ハンガリーの高さを強調したオフェンスを徐々に止められなくなり、前半を同点で終えてしまう。
後半に入っても互角の展開となるが、ゴール下だけでなく、3ポイントシュートが決まり出したハンガリーの流れに。第4クォーターはずっと追いかける展開が続く中、山本麻衣や宮崎早織の奮闘でなんとか食い下がっていくが、ここ一番でのオフェンスリバウンドなど、ハンガリーの分厚いオフェンスを止められず75-81で敗れた。
クォーター毎の失点数が13、19、21、28と徐々に増えていったことが示すように、守備の崩壊が大きな敗因となった。ただ、攻守は切り分けて考えられるものではなく表裏一体。恩塚亨ヘッドコーチは、「オフェンスの停滞がディフェンスにも影響し、守備で相手のボールの出し所を苦しめるコンセプトを表現し切れなかった。そこが一番、大きなポイントではないかと思います」と振り返る。
この試合、日本は208cmのベルナデット・ハタールに17得点を許した。そしてセカンドチャンスポイントで19失点と要所で相手にオフェンスリバウンドを取られるなど、対策を練っていたとはいえ、相手のインサイドアタックに対応し切れなかった。
大黒柱の髙田真希はディフェンスの出来について、次のように語る。「第1クォーターの最初はすごくアグレッシブにボールマンにプレッシャーをかけたり、ダブルチームに速く行けていましたが、それが途中から遅くなってしまいました。また、相手がインサイドの選手に直接パスを入れるのではなく、他の選手を経由してからパスを出すなど、試合中にアジャストしてきた時に、自分たちがプレッシャーをかけられなかったです。そこでディフェンスが崩されて、オフェンスのリズムもつかめなかったです」
そして、適応力でハンガリーの方が上手だったと続ける。「一つ、二つやられてしまうのは仕方ないと思いますが、相手に粘られて自分たちが我慢することができなかったです。相手にアジャストされてから自分たちの動きが止まってしまった。ゲーム中に修正できなかったことで難しくなってしまいました」
最終戦のカナダ戦へ「こういう大会では切り替えることがすごく重要です」
オフェンスでは、快勝した初戦のスペイン戦とは真逆で3ポイントシュートが不発に終わったことが響いた。そして、相手のスイッチに対して後手に回ってしまい、ボームルーブが停滞してしまったのも痛かった。
髙田はこう反省点を語る。「もちろん空いたら3ポイントシュートを打ちます。スイッチされたあと、インサイドにポシションを取ってファウルをもらったり、シュートに行けたところは良かったです。ただ、ボールマンとゴール下で(高さのアドバンテージを得た)選手の2人だけの攻めによって解決しようとして、周りの人が見てしまっていた。練習ではそこで繋ぎの動きを入れてからのハイ&ローなどができていました」
髙田本人のパフォーマンスでいえば、14得点3リバウンド2スティールを記録。粘り強いディフェンスに加え、苦しい場面でタフショットを決めるなど攻守で存在感を示した。「昨日からシュートタッチは悪くなかったですし、とにかく空いたら打つ。自分の仕事はディフェンスが一番だと思っていますが、シュートの積極性は失っていないと思います」と自身のプレーについて語っている。
快勝したスペイン戦のように3ポイントシュートが効果的に決まり続けると、それで勢いに乗れる。しかし、今回のように不発に終わると、どうしても停滞する時間帯が出てくる。それなら守備からリズムを作りたいところだったが、高さに加え相手の上手さに翻弄されてしまった。相手のやり方を受けての修正力で、ハンガリーに上回れてしまったことが大きな敗因となった。
大会2日目の結果を受け現在、出場4チームが1勝1敗で並んでいる。明日の最終日は日本vsカナダが行われ、その後にハンガリーvsスペインが行われる。日本はカナダに勝てばその時点でパリ五輪出場が決定するが、カナダに敗れた場合、直接対決で日本に勝っているハンガリーがスペイン戦を前にパリ五輪出場が決定する。逆にスペインは勝たなければ五輪に行けない状況と、両者のモチベーションに大きな差が生まれる。
そのため、日本がパリ五輪に行くには、カナダに勝つしかないと考えるべき。この天国と地獄を分ける大一番に向けて、高田は「こういった大会では切り替えることがすごく重要です」とメンタル面について言及。その上で、特に重要となるポイントを語ってくれている。「こういう試合をしてしまったのは自分たちの責任なので、しっかり良い準備をしたい。カナダもインサイドを必ず突いてくると思うので、そこへの対処は修正しないといけないです」