薮未奈海

「ここから負けられない戦いになる」

バスケットボール女子日本代表は『FIBA女子アジアカップ2025』グループフェーズを21敗の2位で通過。今日からから始まる決勝トーナメントでは、まず準決勝進出決定戦でニュージーランドと対戦する。

今大会の代表はここまで、自分たちのやりたいオフェンスを思うように遂行できていない。その中でも好調を維持しているのが、グループフェーズ3試合で、チームトップの平均12.7得点を挙げている薮未奈海だ。藪はレバノン戦では19得点、フィリピン戦でも15得点をマークして勝利の立役者に。また、3試合で3ポイントシュート平均7.7本の試投数で成功率47.8%と、今大会を代表するエースシューターになっている。

20歳の薮は世代別代表では中心選手として活躍しているが、フル代表での実績は昨年まで皆無。Wリーグのデンソーアイリスでも出場機会は少なかった。だが、アジアカップ前の最後の実戦となった『三井不動産カップ2025東京大会』デンマーク戦で2試合続けて3ポイントシュートを高確率で沈め、MVPを受賞。アジアカップでも勢いを維持している。

グループフェーズ3試合のプレーについて、薮は次のように振り返る。「東京大会から良いコンディションでプレーできています。ただ、結果としてシュートは入っているかもしれないですが、細かく修正しないといけないところもあります。ここから負けられない戦いになるので、もっと集中しないといけないです」

今大会は藪にとってフル代表として初となるFIBA主催大会だが、「自分の役割に集中して試合に臨めています。変にあせることもないですし、自分のやるべきプレーを100%遂行するたけです。アジアカップだからという緊張はないです」と普段通りのプレーができている。

そして、好調な3ポイントシュートについては「出ている5人が動いている、チームとして良い流れの時にパスが回ってきているので、リズムよく打てています。良いパスからのシュートなので、シューターとしては決めないといけません」と、周囲のお膳立てがあってこそと強調する。

薮未奈海

「警戒されるのは素直にうれしいです」

レバノン戦、フィリピン戦ではともに5本の長距離砲を沈めた薮だが、強豪オーストラリア戦では3本中1本成功に留まった。「相手のベンチ側に攻めている後半は、ベンチの近くにいると『ここにシューターがいるぞ』と指示が出ているのが聞こえていました」と語るように徹底マークを受けたが、「自分がディフェンスを引きつけることで、周りの選手が攻めやすくなります。その部分でも自分の動きを止めないことを意識しました」とあせりはなかった。

ただ、同時に自らシュートチャンスを生み出すために、やるべきことはあると続ける。「シュートの本数が少なかったのは、自分が打てるようにオフェンスをうまく展開できなかったところがあると思います。パスが来るのを待つだけでなく、自分からもっと動いて、パスをもらえる状況を作っていかないといけない。そういった面でもやれたことはもっとあったと思います」

今日からの決勝トーナメントでは、薮の3ポイントシュートへの警戒は強さを増し、シュートを打つことはより難しくなるだろう。だが、薮は「警戒されるのは素直にうれしいです」と強心臓ぶりを見せる。

「マークしてもらえる、目に留まっている選手になれたのはうれしいです。実力がついてきたと思います。これまで厳しいマークをされた経験があまりないですが、それを打破できるようにもっと積極的にチャレンジしてシュートを打っていきたいです」

良い意味で今回がFIBA大会デビューであることを感じさせない薮。物怖じしない彼女の思い切りの良いシュートは、日本に欠かせない武器となっている。