ゼイビアー・ティルマンSr.

ラマー・スティーブンズと2巡目指名権2つとのトレード

トレードデッドラインまであと約24時間というところで、セルティックスがグリズリーズからゼイビアー・ティルマンSr.を獲得した。ラマー・スティーブンズと2巡目指名権2つとのトレードとなる。

リーグトップの38勝12敗で東カンファレンス首位を独走するセルティックスはチームのバランスが良く、ロスターを変える必要に迫られていたわけではない。ブラッド・スティーブンス球団社長は「補強がチームから何かを奪うこともあるから、それには気を付けたい」と、ヘッドコーチのジョー・マズーラも「今のロスターに満足している。何か決断が必要ならそれはブラッドの仕事で、私は今いるメンバーでもっと良いチームになることを考えたいタイプだ」と、いずれもトレードに消極的な発言をしていた。

ティルマンSr.は2020年のNBAドラフトで2順位指名を受けた25歳のパワーフォワードで、今シーズンは34試合に出場、うち13試合が先発。20.6分と短いプレータイムで6.0得点、4.6リバウンド、1.7アシストを記録している。フィールドゴール成功率は40.8%、3ポイントシュート成功率は22.6%とオフェンスで力を発揮するタイプではないが、フィジカルの強さと俊敏さを兼ね備え、身長201cmとビッグマンとしてはサイズ不足にもかかわらずインサイドでの粘り強いディフェンスを持ち味とする。

セルティックスで唯一の懸念がクリスタプス・ポルジンギス、アル・ホーフォードに続く控えビッグマンだった。ルーク・コーネットとオシェイ・ブリセット、ネミーアス・ケイタでは物足りなかった粘り強く広いエリアに対応できるディフェンシブなビッグウイングとして、ティルマンSr.は今後のセルティックスを支える。彼個人としては、4年目のシーズン途中で優勝争いの本命チームに加わる望外のチャンスを得たことになる。

グリズリーズはケガ人続出のシーズンを送っており、エースのジャ・モラントは不祥事による長期出場停止が明けた後、9試合に出場しただけで右肩を手術することになりシーズン終了となった。18勝33敗と勝てていない現状で、すでに来シーズンを見据える動きとしてスティーブン・アダムズを指名権と交換するトレードを行っていた。ティルマンSr.は新人契約の最終年で、タフに戦えるディフェンダーの多いグリズリーズは彼をキープするよりも将来の指名権を選択した。

グリズリーズに譲渡されるラマー・スティーブンズは4年目のパワーフォワードだが、今シーズンは19試合出場、プレータイムは6.4分とローテーション外に置かれていた。既存の戦力を損なうことなく、インサイドのディフェンスを堅実に支えられる若いビッグマンを獲得できた。ビッグネームではなくても、セルティックスにとってはチームの安定感をさらに増す補強と言える。