ステフィン・カリー

「僕の仕事はコートに出て自分のベストを尽くすこと」

現地2月3日、ウォリアーズのステフィン・カリーは60得点を記録したが、試合に勝ったのはホークスだった。60得点など挙げずとも、第4クォーターの最後に放ったシュートがゲームウィナーになり、54得点で終わっているほうが良かった。カリーは残り14秒で軽やかなフローターショットを決め、123-121とウォリアーズにリードをもたらしたのだが、続くポゼッションでデジャンテ・マレーの得点を許し追い付かれてしまう。残り4秒からカリーが放ったシュートが決まらず、決着はオーバータイムに持ち越された。

「最後の1本が決まれば良かったんだけど、悔しい結果になってしまった」とカリーが言うのは、あそこで勝ち越しブザービーターを決めるしか勝機はなかったからだ。だからカリーは延長でのパフォーマンスではなく、その場面を悔しがる。

ケガ人を抱えている上、アンドリュー・ウィギンズが試合途中で足首を痛めてプレーを続けられず、ジョナサン・クミンガがファウルアウトとなったウォリアーズに、もう抗う力は残っていなかった。延長のラインナップはカリー、クレイ・トンプソンとドレイモンド・グリーンまでは『王朝』の主役だが、あとはルーキーのブランディン・ポジェムスキーと2ウェイ契約のレスター・キニョネス。延長の5分でカリーは8得点を追加するのだが、チームとしては11-18とホークスに競り負けた。

当然、60得点を挙げても喜びはほとんどない。「個々のプレーを称えはするけど、やっぱり勝てないとフラストレーションが溜まる。今シーズンはそういうことが多いよ」とカリーは言う。

カリーのパフォーマンスに周囲がついてこれない。クレイはフィールドゴール成功率41.5%、3ポイントシュート成功率37.4%で、カリーに次ぐシュート本数を打ちながらキャリア最低の成功率でブレーキとなっている。グリーンは個人としてはまずまずのプレーをしているが、相手選手を殴っての長期出場停止を経て分かったのは、彼がいてもいなくてもチームの勝率は変わらないということだ。そして、彼が存在感を見せる裏では、ケボン・ルーニーやトレイス・ジャクソン・デイビスが出場機会を失っている。

ウィギンズも長らく不調が続いており、優勝に貢献した時と比べると攻守ともにパフォーマンスを落としている。クリス・ポールは左手の骨折により長期戦線離脱中。ウォリアーズは贅沢税を支払うのを覚悟で豪華な陣容を揃えているが、カリーを除いて年俸の高い順にクレイ、ポール、ウィギンズ、グリーンと高額なサラリーを得る選手がそれに見合った働きをしていない。

21勝25敗と成績が上向かないまま、ウォリアーズはトレードデッドラインを迎えようとしている。特に前シーズンから不調の続くウィギンズには放出の噂が絶えないし、ベテランのクレイとポールには契約延長を巡る思惑もある。フロントはあと数日のうちに、大きなトレードを決断する可能性がある。

そのことを問われたカリーは「僕はGMじゃない。僕の仕事はコートに出て自分のベストを尽くすことだ」と答え、こう続けた。「選手は自分にコントロールできるものをコントロールしていくもので、何らかの決定が下されるまでは『僕たちが勝てるチームかどうか』は自分たちのパフォーマンス次第だと思っている」

「とにかくチームとして安定したパフォーマンスをしていくしかない。今シーズンを何とか意義あるものにするために、僕らにできるのはそれだけだ。勝率5割にまだ4勝足りないけど、まだあきらめない。ただ努力を続けていくだけさ」