アヌノビーが出場している時の得失点差は+18.0
ニックスは『ライバルウィーク』のヒート戦を制しました。OG・アヌノビーをトレードで獲得してから12勝2敗と絶好調で東カンファレンスの4位まで順位を上げています。対戦相手に恵まれた面もありますが、昨シーズンのファイナルへ進んだナゲッツ、ヒートに連勝し、トップチームへの仲間入りへと自信を持ってシーズン後半に入ります。
ニックスに来てからのアヌノビーは15.3得点、フィールドゴール成功率51.6%、3ポイトンシュート成功率39%と高いシュート成功率で貢献していますが、18.2得点のRJ・バレットとのトレードであることを考えると、個人スタッツとして明確な違いを作っているわけではありません。
しかし得失点差を見ると、アヌノビーがコートに出ている時の+18.0に対し、ベンチに座っていると-3.7と驚異的な違いが生まれています。しかも、アヌノビーは出場した14試合すべてで得失点差がプラスで、うち12試合が+10以上と常にアドバンテージをもたらしており、トレードにより選手層が薄くなった課題をはるかに上回る貢献で、ニックスを攻守にトップクラスのチームに変えました。
ニックスのオフェンスはジェイレン・ブランソンとジュリアス・ランドルの個人技が中心で、トレードでそれが変わったわけではありません。それでも3ポイントシュートを効率良く決められるウイングのアヌノビーがスペースを広げ、さらにオフボールでのカットプレーとポジションチェンジを繰り返すことで、インサイドで得点を奪いながらディフェンスを動かすことで、相手ディフェンスにヘルプに行くのを難しくさせ、ブランソンやランドルが楽にドライブできるようになりました。
アヌノビーの『本職』ともいえるディフェンスではエースキラーとしてだけでなく、ゴール下から3ポイントシュートまで広い範囲をカバーするヘルプ役としても機能しており、ニックスの被フィールドゴール成功率は劇的に改善しました。どこにパスを出しても追いつくアヌノビーは『見えないプレッシャー』で相手のボールムーブを苦しめ、特に試合後半になるとプレーを読み切ってボールを奪い取り、速攻へと繋ぐプレーでリードを生み出します。
アヌノビーの獲得は出来過ぎなくらい上手くいっています。単に勝率が上がっただけでなく、相手のキーマンを潰しに行くディフェンスと、自分たちのエースを止めに来られた時のリアクションオフェンスが改善されており、これはプレーオフでの戦いでこそ強みを発揮しそうです。アヌノビーの見えない貢献がニックスへの期待を一段階上へと引き上げました。