アンソニー・デイビス

レブロン「彼らはファウルをして、僕らはしなかった」

ラプターズがレイカーズの接戦を131-132で落とした試合後、ダーコ・ラジャコビッチは激怒していた。負けたことに対してではなく、審判のジャッジに対してだ。NBAでは審判への批判が禁止されており、高額の罰金を科されることになる。それは百も承知だが、黙ってはいられなかった。

「今夜あったのは恥だ。審判の恥。これを見過ごすリーグも恥だ」。叫ぶようにそう語るラプターズ指揮官の目は血走り、大きく見開かれていた。「第4クォーター、彼らはレイカーズに23本のフリースローを与え、我々には2本しか与えなかった。これでどう戦えと? オールスター選手へのリスペクトがあるのは理解するが、ウチにもスコッティ・バーンズを始めオールスター級の選手はいる。バーンズはどの試合でも力強くリムにアタックする。その彼が今日得たフリースローはたった2本だ。これをどう説明するのか。レイカーズは勝たなきゃいけなかったのかもしれない。もしそうなら教えてくれれば我々は試合には来ない。それでレイカーズに勝利を与えればよかったんだ」

「今に始まったことじゃない」とラジャコビッチはテーブルに拳を叩きつけ、こう吐き捨てて席を立った。「そのたびに、選手たちには『プロ意識を持って戦い続けよう』と話してきた。しかし、こんなことがいつまで続くんだ!?」

48分間を通して両チームとも2桁のリードを奪うことのない大接戦で、ジャッジの偏りがあったとすれば覆すのは難しい。最終的に勝敗を決めたのは、41得点11リバウンド6アシストと絶好調だったアンソニー・デイビスのクラッチプレーヤーぶりだった。レイカーズは良くも悪くもレブロン・ジェームズとデイビスが頼りのチームで、この試合でも途中はオースティン・リーブスのディープスリー、ベンチから出たディアンジェロ・ラッセルのRJ・バレットを手玉に取る攻守の活躍があったが、クラッチタイムにはひたすらデイビスで攻め続けた。第4クォーター、デイビスが得たフリースローは11本。同じようにリムを攻め続けたバーンズとの差は確かに存在した。

フリースロー以外にも試合終盤のジャッジがことごとくレイカーズに有利に働いた。イマニュエル・クイックリーは残り4分でキャム・レディッシュの顔面に肘打ちを見舞い、これを故意と判定されてフレグラントファウルで退場した。残り25秒にはRJ・バレットがムービングスクリーンを取られた。

ただ、ラジャコビッチはその名前を口にしなかったが、この試合の担当審判の一人はベン・テイラー、ラプターズにとって因縁の相手だったことが、怒りを爆発させるスイッチとなった。

昨シーズン、まだラプターズに所属していたフレッド・バンブリートはテイラーを名指しで批判したことがある。「罰金を覚悟で言うよ。ベン・テイラーのジャッジは無茶苦茶だ。ほとんどの審判は一生懸命に仕事をしていてリスペクトするけど、中には権力を振りかざしたいだけのヤツもいる。そういう審判は試合を台無しにする。彼は個人的な感情でジャッジをしている」

この時、バンブリートはリーグから3万ドル(約450万円)の罰金を科されている。今回の指揮官も同じ処分を受けるだろう。だが彼は黙っていられなかった。チームを守るのが現場の責任者である彼の務めであり、選手たちはそれを理解している。

サディアス・ヤングは、怒りで我を失った指揮官とは異なり、ベテランらしく落ち着いて言葉を選びながらも、「僕らはいつもチームとして、家族としてお互いを支え合っている。ダーコもずっと僕らを支えてくれて、僕らは彼を慕っている。彼は僕らのために行動してくれた。そのことに感謝している」

レイカーズは後がない状態からクリッパーズ、ラプターズを撃破し、勝率を5割に戻した。レブロン・ジェームズは「インサイドに分があったのは明らかだったから、そこを攻める意識はあった」と言う。気持ち良く勝ったという印象は彼にもないようで、口数は少ない。判定はフェアだったと思うかとの質問には「彼らはファウルをして、僕らはしなかった。それだけだ」と語るに留めている。