「僕がちょっかいを出して、それが少々激しすぎた」
ナゲッツのアーロン・ゴードンはクリスマスに飼い犬に噛まれ、顔と右手に21針を縫う大ケガを負った。当初はヘッドコーチのマイケル・マローンが「メンタルのダメージも考慮して、復帰は急がせない」と、戦線離脱が長引く可能性を示唆していたが、年末のグリズリーズ戦、サンダー戦を欠場しただけで、元旦のホーネッツ戦からコートに戻って来た。
先発パワーフォワードとしてプレーしたゴードンは25分の出場で、10得点2リバウンドを記録。スタッツは伸びなかったが、これはチームの調子が良い中でバランスを取ることを意識し、第3クォーターを40-17のビッグクォーターとしたことで第4クォーターはプレーする必要がなかったためで、攻守にいつも通りのパフォーマンスを披露したと言える。
試合を前に、彼は今回の事件を説明している。彼の飼い犬は4歳のロットワイラー。牧羊犬や番犬として重宝され、警察犬や軍用犬としても活躍する犬種だ。生まれてすぐに飼い始めたのでもう4年一緒にいるが、シーズン中は家を留守にすることが多く、世話をするのは専ら父親に任せていた。ウォリアーズとのクリスマスゲームを勝利で終えた後、彼は自宅に戻って飼い犬と遊んでいた。
「恥ずかしい話だけど、僕が悪いんだ」とゴードンは釈明する。「ウチの子は噛む犬じゃない。僕がちょっかいを出して、それが少々激しすぎた。シーズン中は酒をあまり飲まないんだけど、飲んでいたのも良くなかったのかもしれない。それで軽く噛まれた時に、僕が咄嗟に引きはがそうとしたのが犬を興奮させてしまった。僕が激しくやりすぎたんだ。すぐに病院に行ったよ。傷を縫われるクリスマスは楽しい気分ではいられないけど、本来はもっと深刻な問題に対処すべき医療関係者の人たちの時間を僕のくだらない失敗で奪ってしまったのが申し訳ないし、自分がバカみたいだと思ってヘコんだ。ただそれだけの話で、犬とはもう仲直りしたよ。僕に懐いているし、優しくて強い子なんだ」
彼は数日を静養にあてた後、年末のチーム練習に復帰した。利き手を縫っていることもあり、指揮官マローンはプレーに支障がないかどうか自分の目で確認することを求めたそうだ。結果は上々。顔の縫い傷はどこにあるか分からないレベルで、右手の縫い傷は小さな包帯で隠されていた。
「前にも右手をケガして、縫ってプレーしたことがある。その時は犬は関係なかったけど(笑)、プレーに大きな影響があるわけじゃないのは分かっていた」とゴードンは言う。「今回のことで何がキツかったって、サンダー戦の負けを眺めているしかなかったことだ。僕はこのチームでのプレーするのが本当に好きなんだ。その機会をジョークみたいなケガで失うことになった」
チームメートのマイケル・ポーターJr.は言う。「最初、21針縫ったと聞いて仰天したけど、早く戻って来れて良かった。ケガがどの程度か分からなかった時、最初に電話で彼の声が聞けたのは本当に安心できた。こうして元気にプレーする姿を見れたのも良かった」
チーム練習にゴードンが戻ってきた時、チームメートは揃って犬の吠える声を真似て彼を迎え入れたそうだ。ホーネッツ戦の選手入場時にはデンバーのファンから大歓声が上がった。復帰戦を終えたゴードンは「すべて順調だ。みんなに感謝したい。僕はこのチームのみんな、ファンが大好きで、その気持ちにみんなが応えてくれるのは本当にうれしいよ」と笑顔で語った。