三輪大和&鈴木凰雅&岩下愛育

福岡大学附属大濠が冬の頂点に立った2021年のウインターカップ。当時1年生だった三輪大和、鈴木凰雅、岩下愛育は、先輩たちが有終の美で高校バスケを締めくくる姿を今も鮮明に覚えている。そんな彼らは今、最上級生としてウインターカップに臨もうとしている。キャプテンの三輪、ケガから復帰した鈴木、ディフェンスでチームを盛り立てる岩下は、自分たちが1年生の時に見た最高の景色を後輩たちにも見せたいと意気込む。

「3年生で何度も部室に集まって話し合った」

──高校バスケ最後の大会を迎えようとしていますが、大濠での3年間で一番印象に残っていることは何ですか。

鈴木 ウインターカップ予選で福岡第一に勝ったことです。自分たちの代ではずっと負けていて、福岡での最後の大会で勝てたのはうれしかったですね。逆にキツかったのは1年生の頃の練習です。先輩の存在感もあって緊張してしまい、自分の思うプレーができなくて練習でもミスが多く、その時はメンタル面でも肉体面でも辛かったです。

岩下 僕は1年生の時のウインターカップ優勝ですけど、自分がメンバーに入れるかどうかのところで結局入れず、応援席でウインターカップ優勝を見ながら「自分もコートに立ちたかった」という気持ちもあって複雑でした。

──3人それぞれがどんな選手なのか、良いところと直してほしいところを教えてください。

鈴木 三輪はドライブにキレがあって、ピックの上手さがあります。でも、気持ちが弱い部分が少しあるので、チームが苦しい時にもっと引っ張ってほしいです。岩下は相手のエースを止める最強のディフェンスですね。岩下ももう少し自信を持ってプレーしたら、もっと良い結果が出ると思います。

岩下 三輪の良いところは、注意された部分を自分でしっかり意識して、毎日改善していく姿勢が見えるところです。シューティングの時に流す音楽がずっと『BIGBANG』なのはやめてほしいです(笑)。

三輪 愛育は負けず嫌いな部分を練習でも試合でも出すタイプで、そこはチームとしても良いところだと思います。凰雅は大きな声で声を出してくれるので、そこは良いところだと思います。でも、試合で少しでも調子が悪いと死んだ目になるのは直してほしいです(笑)。

──ウインターカップ予選の福岡第一戦には、どういう気持ちで臨みましたか。

岩下 崎濱(秀斗)がケガで出ていない分、山口(瑛司)が攻めて来ると分かっていたので、彼をしっかり止めることで自分たちのペースに持っていくことを意識して試合に臨みました。

三輪 僕は2人と同じ中学だったので、崎濱がケガをしたと知って素直に「大丈夫かな」と心配して連絡しました。ウインターカップには間に合うということで安心しましたけど、崎濱が抜ける県予選では絶対に勝たなきゃいけないプレッシャーが大きくなりました。

──鈴木選手はケガで思うようなシーズンが過ごせなかったと思います。

鈴木 リハビリ生活が長くて、チームにいないことが多かったんですけど、リハビリがない日にチームに戻って来ると、練習が良い雰囲気でできてる時もあれば悪い雰囲気の時もあったので、復帰したら自分がそれをどう良い方向に持っていけるかと考えていました。

三輪大和

「20人が『みんな一緒に』というマインドで」

──3年生になってからのこの1年間、どのように頑張ってきましたか。

岩下 前半は勢いがあっても後半になると受け身になって点数が伸びないという試合展開が続いたんですけど、U18トップリーグでその課題を意識して、練習したことを試合で出せたのは良かったと思います。

三輪 負けることも多かったんですけど、コミュニケーションを取ることが増えてチームの雰囲気も良くなってきています。

鈴木 夏の時期に練習試合での負けが続いて、九州大会も延岡学園に負け、気持ちの切り替えができない期間が結構続きました。でも、その時にキャプテンの三輪がチームを引っ張ってくれて、みんなで頑張れたと思います。

三輪 人数が多い分、まとめるのは苦労したんですけど、鈴木も助けてくれたし、20人が「みんな一緒に」というマインドでやってくれたのは本当に助かった部分です。

──鈴木選手は、具体的にどんな部分でキャプテンをサポートしたんですか。

鈴木 練習でキャプテン頼りにならないように僕がみんなに声をかけたり、キャプテンと他の人の意見がぶつかった時に、どっちの意見も聞いて良い方向に持っていこうとしたりしていました。

──苦労した時期もあったようですが、転機はありましたか。

岩下 チームが上手くいっていない時には、3年生で部室に集まって話をしました。最初は「これじゃ本当にインターハイ予選の決勝で福岡第一に勝てないぞ、どうするか」という話だったと思います。インターハイ予選で負けた後も、「このままだとまた負けてしまう」という話をして、ウインターカップ予選の決勝まで何度も集まって話すことを繰り返しました。そうやって全員のモチベーションを上げて、チームを変えることができたと思います。

岩下愛育

「大濠は留学生抜きでやっているのが魅力」

──いよいよウインターカップですが、特に意識する相手はいますか。

三輪 九州大会で負けた延岡学園には絶対負けたくない気持ちがあります。準決勝まで勝ち上がれば、すごく力のある留学生のいる日本航空と戦うと思います。そこが大会の山場になるので、しっかりと準備して負けないように戦いたいです。

岩下 日本航空に勝って決勝に進みたい気持ちは僕にもあります。僕たちが出場していないインターハイで優勝しているのが日本航空なので、そこを倒して勢いに乗って決勝に行き、優勝するのが目標です。一戦一戦しっかり、チーム全体で勝ち上がっていきたいです。

鈴木 どこのチームにも負けたくないです。ウインターカップでは留学生のいるチームと戦うことが多くなりそうで、大濠は留学生抜きでやっているのが魅力だと思うので、そこを強みとして出したいです。個人的には四日市メリノール学院には負けたくないです。僕は中学2年でメリノール中に転校して、その頃は今ほど熱心じゃなかったし、下手だったのを山崎修先生に教えてもらい、いろんな人に支えてもらって今があります。中学時代の仲間に、高校で成長したところを見せたいです。

──最後に、福岡大学附属大濠を応援するバスケファンにメッセージをお願いします。

三輪 最後のウインターカップの舞台で、保護者やファンの方々と一緒に自分たちが優勝する景色を見たいと思います。日本一に向かって全力で頑張るので、応援よろしくお願いします。

鈴木 応援をしてくれる人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、ウインターカップでは絶対優勝して、後輩たちに残せるものを残していきたいです。

岩下 ウインターカップ優勝の景色を見たのは、今のチームの中で自分たちが最後です。その経験をしっかり生かして、後輩たちに優勝の景色を見せてあげたいです。