馬場雄大

「日本でプレーする外国人選手をしっかりシャットダウンしないことには僕の未来も限られてくる」

B1初年度ながら開幕4連勝と勢いに乗る長崎ヴェルカは、10月21日、22日に行われた第3節でサンロッカーズ渋谷と対戦した。

ゲーム1は78-85で今シーズン初黒星を喫したが、ゲーム2は見事にバウンスバックし91-74で勝利。前田健滋朗ヘッドコーチは「チームでまとまって踏ん張り切ることができました。1つのシュートを落とさせて1つのリバウンドを取り切り、相手のスコアを止め、落ち着いてオフェンスを展開しながら試合を進められました。しっかりステップアップできたと思います」と試合を振り返った。

ゲーム2で際立ったのは、今シーズンよりチームに加入した馬場雄大のディフェンスだ。馬場はこの試合、SR渋谷の新加入ポイントガード、アンソニー・クレモンズにマッチアップ。これまでの試合で高いアドバンテージを誇っていたクレモンズに前線からプレッシャーをかけ続け、フィールドゴール11本中2本成功、3ターンオーバーというスタッツに抑え込んでいる。

前田ヘッドコーチは馬場のディフェンスについて問われると、「これまでの3試合とは比べ物にならないディフェンスをやってくれたなと。フルコートでプレッシャーをかけたり、常にボールに対してプレッシャーをかけていて、すごく良かったです」とコメントした。

「前半終了時点で10点弱のリードという昨日と同じような展開から、反省を生かしてリードを守り切り、40分間戦い抜くことができた。昨日の反省が生かせたいい試合でした」と試合を振り返った馬場は、自身のディフェンスについて以下のように話す。

「僕はこれまでに海外の選手と多くマッチアップしてきました。そこで強みを発揮することはヘッドコーチからもチームからも求められてるところだと思っています。日本でプレーする外国人選手をしっかりシャットダウンしないことには僕の未来も限られてくるので、自分に対して高いスタンダードを課してこのシーズンを戦っていきたいと思います」

5シーズンぶりにBリーグに復帰した馬場だが、本人がさまざまな場所で発言しているとおり、目標は今もNBAにある。長崎への加入も、来年のパリオリンピックで最大限のアピールをする最善の選択肢と判断したから。馬場の目線の高さとそれゆえの危機感を強く感じさせるコメントだ。

馬場雄大

日本代表チームでも課題としていた『タグアップ』を修正し、持ち前のエネルギーでチームメートを牽引

馬場は今年の代表活動から現状に至るまで、ディフェンスに関する1つの課題を抱えていたという。『タグアップ』……平たく言うとリバウンドを奪うための動きから、マークマンのディフェンスに素早く移行することだ。「リバウンドにからみに行きながらそのままマッチアップすることは、代表の時からなかなかうまくいかず、ディフェンスで貢献しきれなかったという反省点がありました」と説明する。

SR渋谷戦に向けて、馬場はチームのビデオコーディネーターと映像を見直しながら、この課題に重点を置いて準備をしてきた。ゲーム1については「あまりうまく遂行できなかった」と振り返ったが「今日はこの課題も含めて、やるべきことを冷静に踏まえてやれた」とコメント。「僕の勢いを汲んでくれて、チームとしてもいいディフェンスができたと思うので、あらためて、ディフェンスでエネルギーを出すことは僕の仕事かなと思いました」と続けた。

長崎はB1昇格初年度にもかかわらず開幕節で千葉ジェッツに連勝し、すでに大きな注目を集めている。選手たちはさぞ気持ちよくシーズンを戦っているかと思いきや、馬場は「4連勝した後も『面白いチームだね』いう言葉しか聞いていない」と言い、「『B1で通用するチーム』『強いチーム』という評価を得るためにも、この渋谷戦はどうしても勝ち星を取りたいと思っていたので、取れてよかったなと思いました」と明かした。

古巣・A東京のチームメイトだった田中大貴や、A東京に所属する以前から薫陶を受けていたルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチとの再会を楽しみながら、『SR渋谷に勝つ』という1つのミッションを達成した馬場。しかし、彼の目指すものは当然より高い場所にある。

「できないことではない、やるかやらないかっていう世界。自分たちはB1で優勝する力を持ってると思うので、相手でなく自分たちにベクトルを向けて、どんどん高いレベルを目指していけたらこの先は自然と見えてくるかなと思います」