マックス・ストゥルース

ペースが大幅に上がり、3ポイントシュートが増える

キャバリアーズは51勝31敗と躍進のシーズンを送るも、プレーオフでは第5シードのニックスのフィジカルなバスケに歯が立たずファーストラウンドで敗退した。今オフには主力を残した上で、マックス・ストゥルースとジョージ・ニアン、タイ・ジェローム、デイミアン・ジョーンズといった補強で選手層を厚くした。

ダリアス・ガーランドとドノバン・ミッチェルがチームの顔、エバン・モーブリーとジャレット・アレンの強力インサイドとメインとなる選手に変化はないが、キャブズがプレシーズンゲームで見せているバスケは昨シーズンから大きく変化している。

まずはペースが大幅にアップした。今までは2人のハンドラーと2人のビッグマンが繰り出す多彩なピック&ロールを軸に時間を使ってオフェンスを構築し、ミッチェルかガーランドの個人技でフィニッシュすることが多かった。しかしプレシーズンゲームの3試合ではボールが特定の選手に集まることなくチームでボールをシェアし、ショットクロックを残していても前が空いていれば全員が躊躇なくシュートを放っていく。シュートアテンプトの半分以上が3ポイントシュートになり、最初のホークス戦ではフィールドゴール成功40本に対して30アシストを記録し、続く2試合でもアシストを量産している。

シュートの成功率がいまいち上がってこないが、主力のプレータイムがまだ短く、選手の組み合わせを試している今は仕方がない。今は新しいスタイルを全員が吸収し、試しながら『好きになる』ことが大事だ。

新加入のマックス・ストゥルースは最初のプレシーズンゲームとなるホークス戦でデビューした後「このバスケは楽しい」と語った。「オフェンスでよくボールが動き、良いシュートをたくさん打てた。決めきれなかったけど、シュートは落ちるものだから心配していない。今日みたいなプレーをずっと続けられれば、きっと素晴らしいシーズンになる」

ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは、このスタイル変更をこう説明する。「昨シーズンは効率的なオフェンスができたが、イージーなチャンスはあまり作れなかった。最もイージーな得点機会はトランジションから生まれる。それができるようになれば相手ディフェンスにより難しい対応を強いることができる」

ストゥルースは新しいキャブズのバスケを象徴する選手になるだろう。ニアンも3ポイントシュートのないモーブリーとアレンとは違うタイプのビッグマンとして重宝されることになりそうだ。また、モーブリーは今夏を通してインサイドのプレーメーカーとなるべく練習を続けている。

ビッカースタッフはディフェンスを重んじるヘッドコーチだが、キャブズの若い選手たちが急成長する中で、それに必要な変化を恐れずに取り入れた。彼がこれまでチームに植え付けた堅守の文化はベースとして残しつつ、キャブズはよりアグレッシブに攻めるチームへと生まれ変わる。「すべてはプロセスなんだ」とビッカースタッフは言う。「毎年、一歩ずつ前進していきたい」