試合巧者ぶりが光った新潟、混戦を制して7連勝
勝率5割超えと前半戦好調の富山グラウジーズは、先週末の地元開催のオールスターの勢いに乗り初のチャンピオンシップ進出を目指し、新潟アルビレックスBBとのアウェーゲームに乗り込んだ。立ち上がりはジョシュア・スミスを軸にしたアグレッシブな攻めでリードを奪うが、開始4分でラモント・ハミルトンをあえてフリーにして『打たせた』はずの3ポイントシュートを決められ、9-11と逆転されたところから相手を勢いに乗せてしまう。
ファストブレイクを連発された後は、柏木真介、五十嵐圭に3ポイントシュートを浴びて13-29と一気に相手のペースに持っていかれた。それでもベンチから流れを変える阿部友和の連続3ポイントシュートで締めて、第1クォーターを19-29と10点差でまとめると、第2クォーターはダバンテ・ガードナー、ハミルトンと相手の外国籍選手にチャンスを与えず、ディフェンスから立て直して35-40、5点差までビハインドを縮めて前半を終えた。
すると後半開始早々、ガードナーが個人3つ目のファウルでベンチに下がりオフェンスの迫力を欠いた新潟に対して富山が逆転する。宇都直輝が作り出すズレをチームとして巧みに使い、スミスが抑えられた時もレオ・ライオンズがうまくフォローして効率良く得点を重ねていく。
それでも中地区首位を走る新潟はホームで負けられないと一歩も引かない。ファウルトラブルのガードナーがコートに戻っても攻守に本来の力強さを出せない状況で、五十嵐が積極的なアタックでスコアラーの役割を担う。試合の流れを読み、チームに必要な役割をこなし、しっかりと結果を出す五十嵐のプレーが試合の流れを変える。富山の指揮官ドナルド・ベックをして「今日は彼が試合を動かしていた」と言わしめるプレーだった。
また、五十嵐がタフショットを決めた直後のリスタートを柏木がかっさらって得点するなど、苦しい展開の中でもベテランが仕事をして流れを呼び戻したし、富山は最も勢いがある時に自分たちのミスで相手に付け入る隙を与えてしまい、両チームの試合巧者ぶりに差が出た。
ガードナーはファウルトラブルに苦しんだが、その分ベンチで休む時間があったために疲弊が少なく、第4クォーターの勝負どころでは呪縛が解けたようなプレーで得点にアシストに大活躍。逆に富山は終盤に打つ手がなくなり、最後のタイムアウトを取った残り3分17秒から無得点と失速。序盤の劣勢を耐えて流れをつかんだものの、最後は力及ばず71-80で敗れた。
五十嵐圭「目の前の試合に集中して戦っていく」
33分のプレーで4本の3ポイントシュート成功を含む21得点を記録した五十嵐は、この試合でB1個人通算での3ポイントシュート成功を300の大台に乗せた。それでも本人は「特に意識はしていませんでした」と淡々。「今まで同様、チャンスがあればシュートを狙っていくという中で、前半に良いシュートを打てて、その流れで2本目を決めることができました。ただ、結果として3ポイントシュートの確率はあまり良くなかったので、そこを上げていくのが今後の課題でもあります」
チームリーダーの五十嵐が見据えるのは、個人の記録ではなくチームの勝利、そしてチャンピオンシップ進出だ。「連勝もしていて、勝率的には勝ち星も先行していますが、個人的には目の前の試合を一戦一戦、戦っていくことを意識しているので、連勝だったり順位は気にせず、まずは、目の前の試合に集中して戦っていくことを考えていきたい」
これで新潟は7連勝。それでも成績上位のチームとは対戦しておらず、真価が問われるのはまだこの先だ。庄司和広ヘッドコーチは勝ってなお「出だしは準備通りにやれたが、セカンドユニットでエクスキューとがうまくできなかったり、プランから外れることがあった。チームのやるべきことに対し、もっと強い強度でやっていかなければ」と課題を語る。
それでも難しい試合展開の中で集中を切らすことなく、終盤の勝負どころでハドルを組んで結束を強め、チームバスケットで勝ち切ったところに今の新潟の強さが見られた。チャンピオンシップ進出へ向けて、勝負どころはまだ先だとしても、チームには手応えが感じられる。
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