
3ポイントシュート4本中3本成功の12得点
7月4日、女子日本代表は『三井不動産カップ2025(東京大会)』でデンマーク代表と対戦し65-65ので引き分けた。
日本は立ち上がり、デンマークに高確率で3ポイントシュートを決められ先制パンチをくらうと、そのまま相手ペースで試合は進み第1クォーターで2桁のリードを許す。第2クォーター以降は、平面でのプレッシャーを強め、激しい守備からのトランジションで反撃し、後半早々に逆転に成功する。しかし、194cmの長身を誇るデンマークのユリアナ・オクソンに11本ものオフェンスリバウンドを許すなど、リバウンド争いで後手に回り、突き放すことができなかった。オフェンス面でもここ一番の場面で決定力を欠き、格下相手に勝ちきれなかった。
コーリー・ゲインズヘッドコーチは、「今日の試合で、自分たちのことをもっと深く理解できました」と試合を総括。7月13日に中国で開幕する『FIBA女子アジアカップ2025』を前に、チームの課題が浮き彫りになったことを貴重な成長のチャンスととらえている。「足りないこと、修正しないといけないことが明確になりました。選手たちには、ミーティングで自分たちのスタンダードを守れなかったと伝えました。不幸中の幸いはアジアカップはこれからということです。ここから学んで良いチームを作りたいです」
この試合、日本は持ち味である3ポイントシュートが34本中9本成功と不発に終わった。その中で、薮未奈海は4本中3本成功と一人気を吐き10分46秒のプレータイムで12得点と活躍した。
薮はこのように試合を振り返る。「今回の合宿では名古屋、中国での試合を経てチームの基盤になることを練習してきました。しかし、それを選手がコートで表現しきれなかったです。課題は見つかりましたが、できた部分も多いと思うのでネガティブにはならずに、しっかりと前を向いて自分たちのやるべきことを明確にしてやっていけたら良いと思います」
そして自身のパフォーマンスについては「自分の役割はシュートを打ちきることです。その中で、しっかりコーナーまで走ってスペースを作るなど、オフボールで動くことが必要です。決めきれたのは、みんなが良いパスを回してくれたからだと思います」と周囲のサポートがあってこそと語った。

「素直にアジアカップに出たい気持ちが強いです」
20歳の薮は、2023年の『U19女子ワールドカップ』で平均12.4得点、5.1リバウンド、3ポイントシュート成功率40.6%と活躍し、チームの6位進出に大きく貢献した。だが、Wリーグにおいてはリーグ屈指の選手層を誇るデンソーアイリスでプレータイムを得るのに苦戦している。昨シーズンもプレーオフのセミファイナル、ファイナルの全8試合の内、コートに立てたのはわずか1試合の4分のみだった。
「Wリーグではなかなかプレータイムが伸びず悔しい思いもありますが、自分が出場する時のために準備はしてきたつもりです」と語る薮だが、代表とデンソーでは状況がまったく違うと気持ちを切り替えている。そして、Wリーグでの出番が少ないことに引け目を感じることはない。
「セレクションキャンプからコーリーのバスケをやっていく中で、合宿を重ねるごとに評価していただいているから、ここまで残っているととらえています。なので、そのことには自信を持って中国遠征や今日の試合も臨めています。コーリーはいつも『失敗していい』と言ってくれて、シュートは入るか入らないかではなく打つか打たないかだと。失敗したとしても、やりきった上で、その後に何ができるかを見せていかなければいけないと思います」
U19代表での活躍も含めると、ここ数年で何度か代表の合宿に招集されているが、これまでは大会12名のロスター争いに本格的に絡むことはなかった。しかし、今回は残り15名となった最終段階まで生き残っており、「素直にアジアカップに出たい気持ちが強いです」と言い切る。
奇しくも、今回の相手であるデンマークは群馬の高崎アリーナで行われた『三井不動産カップ2023』でも対戦している。その時の薮は、勝敗が決したガベージタイムでプレーしたのみだったが、今回は序盤からコートに立ち結果を残した。
「デンマークとは2年前にも対戦していますが、その時の自分はディベロップメンバーとして13人目で選出されてもらっていました。言い方は悪いかもしれないですが、おまけみたいな部分もありました。今回はしっかりと選ばれた中での試合だったので、自分としてもやっとスタートラインに立てました。日本で代表のユニフォームを着るのは2回目ですが、初めてのような感覚です。おまけではなく、チームの一員として勝利に貢献できる選手になっていることを感じられています」
本日のデンマーク戦が、13日から始まる『女子アジアカップ2025』に向けた最後のアピール機会となる。薮は「失敗を恐れずにしっかりと自分の役割を出せるようにしていきたいです」と強い決意で臨む。