同じ元ドラフト全体2位指名のバグリー三世と過酷なポジション争いが勃発
若手ビッグマンのジェームズ・ワイズマンは2020年ドラフトでウォリアーズから全体2位指名を受け、大きな期待を受けて入団した。しかし、プロ2年目にシーズン全休の故障に苦しんだ上、優勝を狙うチームのために使いながら育てる余裕がなく、満足なプレータイムを得られなかった。そして、昨シーズン途中にピストンズにトレードされた。
しかし、チームが早々にプレーオフ戦線から脱落したことで、ワイズマンは十分な出場機会を得て大きくステップアップした。ウォリアーズでは21試合に出場(先発なし)し、平均12.5分のプレータイムで6.9得点、3.5リバウンドだったのが、ピストンズでは24試合に出場(先発22試合)し、平均25.2分のプレータイムで12.7得点、8.1リバウンドを記録した。良い形でシーズンを終え今シーズンのさらなる飛躍に期待がかかるワイズマンだが、モンティ・ウィリアムズ新ヘッドコーチの下では立場が一変し、ローテーション入りも確約されていない状況だ。
地元紙『Detroit Free Press』によると、ウィリアムズヘッドコーチの中でインサイド陣はパワーフォワードがアイザイア・スチュワート、センターはジャレン・デュレンが先発予定だという。プロ4年目のスチュワートは今オフに4年総額6400万ドル(約95億円)の契約延長に合意。11月に20歳になるデュレンはルーキーイヤーの昨シーズンに平均9.1得点、8.9リバウンドを記録し、ワールドカップのアメリカ代表の練習相手として結成されたセレクトチームでのプレーで評価を高めていた。この生え抜きのビッグマン2人が中心となるのは予想通りと言える。
そして、同紙はワイズマンの状況について、控えセンターの座をマービン・バグリー三世と争うと指摘する。この競争に敗れた選手はローテーションから外れ、出場機会がほとんど与えられない見込みだ。ちなみにバグリー三世は2018年のドラフトで、ワイズマンと同じく全体2位指名でNBA入りしたが、指名されたキングスで結果を残せず、2021-22シーズン途中に4️チームが絡むトレードでピストンズに加入した。昨シーズンは42試合に出場し平均12.0得点、6.4リバウンドを記録。ともに10代でNBA入りした点も含め、ワイズマンとの共通点は多い。
ウィリアムズヘッドコーチは以下のように控えセンター争いについて語っている。「どちらの選手がステップアップし、控えのビッグマンになるのか検討している。2人ともタフな状況にいるが才能はある。バグリーは実績があり、ワイズマンはまだ若く学んでいるところだ。どちらがポジションを奪うのか、見守っていきたい」
ワイズマンは22歳、バグリー三世は24歳と揃って20代前半かつ、全体2位指名が示すように将来性を高く評価されていた。しかし、それでも生存競争の激しいNBAでは3年、4年と結果を残せないとすぐにお払い箱の危機を迎える。どちらか、失地回復のチャンスをつかんで、開幕を迎えられるのだろうか。