川崎ブレイブサンダース

文・写真=鈴木栄一

強みのオフェンスが停滞したことで崩れた富山

1月16日、川崎ブレイブサンダースがホームで富山グラウジーズと対戦。前半はともに点を取り合うハイスコアリングゲームとなったが、後半に守備を立て直した川崎が87-67で快勝している。また、川崎はニック・ファジーカスが22得点11リバウンド7アシスト3スティールとオールラウンドな活躍を見せると、故障から復帰となる辻直人の12得点など計5人が2桁得点。バランスの良いオフェンスが光った。

第1クォーター、川崎はこのクォーターだけで11アシストが示すようにテンポ良くパスを回すことで富山の守備を翻弄し、さらにフィールドゴール16本中13本成功と驚異的な高確率でシュートを決めていく。しかし、富山もジョシュア・スミスの4つを筆頭に計8つのオフェンスリバウンドとセカンドチャンスを作り出すことで食い下がり、川崎の28-20でこのクォーターを終えるも、第2クォーターに入ると富山はターンオーバー奪取から水戸健史がファストブレイクからのレイアップを2本沈めて流れを引き寄せると、大塚裕土の3ポイントシュートも飛び出し肉薄する。

前半はほぼ互角の展開で終わったが、第3クォーターに大きく試合が動く。富山はドナルド・ベックヘッドコーチが「後半の出だし、ディフェンスは良かったですが、オフェンスがうまくいかなかったです。これがゲームのターニングポイントでした。シュートセレクションも悪くフリースローも打てなかったです。前半はフリースロー10本だったのが、第3クォーターは0本でした」と振り返るように、富山は強みであるオフェンスが停滞したことで崩れていく。

そして、この相手の隙を川崎は逃さない。第1クォーターの再現となるバランスの良いオフェンスを展開して着実に得点。逆に富山はスミス、レオ・ライオンズの外国籍コンビの得点のみと対照的な内容となり、このクォーターで川崎が22-12と圧倒して突き放す。第4クォーターに入っても富山は攻撃のリズムを取り戻せず。そのまま川崎が危なげない展開で乗り切った。

川崎ブレイブサンダース

リバウンド改善で後半の失点わずか25に

川崎の北卓也ヘッドコーチは、「リーグ1の得点力である富山さんを相手に67点に抑えました。後半のディフェンスが良かったと思います。ライオンズ選手の調子が悪かったとはいえ、起点となるところをしっかり抑えられました」と守備を第一の勝因に挙げる。

後半の失点をわずか25に抑えられたのは、リバウンドへの姿勢の改善によるものだと見ている。「スミス選手に4番の選手がトラップに行っており、そこでアウトサイドの選手がリバウンドに行くのに、うまくローテーションができていない時があった。それでリバウンドを取りきれない部分がありました。また、4番がトラップに行った後、リバウンドに参加していない現状も起きていたので、そこは全員で取りにいこうと伝えました」

また、ベックヘッドコーチが「ターンオーバーから相手のトランジションオフェンスに持っていかれたのが大きな敗因となりました」と語ったように、ファストブレイクポイントで川崎の22-6と大差がついたことも明暗を分けた。

最後に印象的な場面として、川崎が残り2分に注意力不足から相手ゴール下からのパス1本で点を取れてしまった後、北ヘッドコーチがすぐにタイムアウトを取った点を紹介したい。この時、川崎は20点の大量リードを奪っていてすでに勝敗は決しており、通常ならタイムアウトを取るような場面ではなかった。

しかし北は、「得失点のことがあります。富山さんとは今日の試合前、直接対決は2勝1敗で勝っていましたが、得失点で負けていました。終盤に順位争いでもつれた時、得失点も絡んできますので、最後までしっかりプレーしなさいという話をしました」とその意図を明かす。シーズン後半戦に入り、いよいよチャンピオンシップへの順位争いを見据えた戦いへと突入する時期になっていることをあらためて実感する指揮官の発言だった。

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