ミカル・ブリッジズ

カナダとの3位決定戦、延長に持ち込むも力尽きて敗戦

ミケル・ブリッジズがフリースローの1本目を決めて108-11と3点差に詰め寄ったが、残り時間は4秒しかない。ブリッジズは2投目をわざと外してオフェンスリバウンドを拾い、コーナーへと逃げて振り向きざまに3ポイントシュートを放つ。同点にはこのプレーしかなかった。これがリムを射抜いた時、劣勢を挽回したアメリカ代表が逆転勝利する筋書きができているように思われた。

「最高にうれしかった。あのシュートで、あと5分で勝利を引き寄せられると思った」とオースティン・リーブスは言う。しかし、そうはならなかった。

アメリカのディフェンスは常に欠陥を抱えていて、カナダはそれまでの戦いぶりからそれをどう突けばいいのか理解していた。スイッチでミスマッチを作り、そこを狙う。そのシンプルな攻めを、正確に、そして徹底的に続けた。延長に入るとシェイ・ギルジャス・アレクサンダーの連続得点でカナダが7-1のラン。「ここが試合の決め手となった」と指揮官のスティーブ・カーは言う。

カーはそれを言い訳にしようとはしなかったが、チーム内に体調不良者が続出しており、ブランドン・イングラムとパオロ・バンケロ、ジャレン・ジャクソンJr.が欠場。他にも万全でない選手がいたようだ。延長でジョシュ・ハートがファウルアウトとなると、もうアメリカに反撃する力は残っていなかった。

シェイが31得点、ディロン・ブルックスは39得点、RJ・バレットが23得点を記録。延長の5分間を16-7と打ち勝ったカナダが銅メダルを手にした。

この敗北が来年のパリオリンピックに向けた教訓になるかと問われたカーは、率直に「ノー」と答えた。「2019年に7位に終わった大会を私はスタッフとして経験している。今回のチームは優秀な選手が揃い、よくコーチングされ、継続性もあった。それでも勝つのは難しい」

試合後、アメリカ代表の選手たちに語ることができたのは、この経験をいかにNBAのシーズンに繋げるか、ということだけだった。ジェイレン・ブランソンは「バスケを楽しめたし、シーズンの準備にも役立った。今はただポジティブに考えたい。長い目で見れば、この経験がプラスになるはずだ」と言う。

タイリース・ハリバートンも「ベンチから試合にどう影響を与えられるか、ディフェンスでどれだけ貢献できるか、そういったことを意識してプレーすることで成長できたと思う。シーズンに向けていろんな面で自分を見つめ直すことができた」と語る。

しかし、どんな経験を積んだとしても、勝利を当然のものとして求められるのがチームUSAだ。帰国すれば彼らは批判を浴びるだろう。それでもブリッジズは「また代表に参加するつもりはあるか?」と問われて「もちろんだ」と答えている。

「ノーとは言わないだろうね。名誉なことだから。求めていた結果は得られなかったとしても、この6週間か7週間は他には代えられないものなんだ」