栃木ブレックス

文=丸山素行 写真=鈴木栄一

2桁リードを奪うも突き放せない栃木

天皇杯の準決勝、栃木ブレックスvs京都ハンナリーズの一戦。第4クォーター序盤に2点差に迫られるなど、京都の粘りに手を焼いた栃木だが、要所を締めて逆転を許さず、71-62で勝利して決勝へと駒を進めた。

遠藤祐亮の3ポイントシュートで先制した栃木は、24秒バイオレーションを誘発するなど堅い守りを披露し、開始4分で9-2と上々の立ち上がりを見せる。

一方、京都は大黒柱のジュリアン・マブンガがベンチを外れてシャキール・モリスが出場となったが、そのモリスがパワープレーで加点し、もう一人の大黒柱デイヴィッド・サイモンが高確率でシュートを沈めていき、エース不在を感じさせない内容で食らいつく。

第2クォーター開始直後、ジェフ・ギブスの3ポイントシュートが決まり、24-14と点差を2桁に乗せた栃木だったが、その後はなかなかシュートを決められず突き放すには至らない。アグレッシブなプレーでチームを鼓舞する片岡大晴に、3ポイントシュートに速攻と連続得点を許し、34-29で前半を終えた。

後半に入り、栃木は鵤誠司の3ポイントシュートで再び点差を2桁に広げた。だが栃木を指揮する安齋竜三ヘッドコーチが試合後、「自分たちで崩れてしまったり、ターンオーバーだったり、ディフェンスのルールを間違えてしまったり、10点くらい離れる時にそれが毎回起きて、そこから6点になってという繰り返しになった」とコメントしたように、ギブス、遠藤が連続でオフェンスファウルを犯すなど、突き放すチャンスを自ら逸した。

それでも栃木はオールコートディフェンスが機能し、京都のボール運びを停滞させるなど、高いディフェンスの強度を保ちリードを維持した。

伊藤達哉も「いつも通りのオフェンスに入れなかった」と栃木ディフェンスの恐ろしさを体験した。「運べる選手が限られていて、乱されました。自分のリズムじゃなかったというのも何回かあって、アタックしても自分が決めきれなかったです。いくつか試合の途中でチャンスは巡ってきたと思うんですけど、そこで自分たちがモノにできなかったのが敗因だと思います」

京都ハンナリーズ

失点を60点代に抑えた、ディフェンスの勝利

「チャンスは巡ってきた」と伊藤が言うように、第4クォーター序盤にはモリスが2本のフリースローを沈め、2点差まで詰め寄った。だがその直後、モリスが4つ目のファウルを犯してベンチに退くと、栃木の強みであるオフェンスリバウンドが猛威を振るった。

京都は守っても守ってもオフェンスリバウンドを拾われた。高さの均衡を保つため、モリスをすぐにコートに戻し、京都は勝負をかけたが、栃木の勢いを止められなかった。

残り2分半で10点差にされ、片岡の3ポイントシュートと岡田優介のフリースロー3本で追撃しても、栗原貴宏の3ポイントシュートを浴びるなど、近づいては突き放される展開が最後まで続いた。残り1分12秒、渡邉裕規が難しい体勢から放ったミドルシュートが決まり、8点差となったところで勝負アリとなった。

苦しみながらも勝利を手にした安齋コーチは「どういう状況になっても、最後まで気持ちを切らさずにディフェンスができて、60点台に抑えられたこと」を勝因に挙げた。

チームハイの18得点を挙げた遠藤は「試合の入りはシュートが入って自分のリズムでできました。でも追いついてきた時に慌ててターンオーバーをしてしまったり、判断のミスがあったので、後半に点が伸びなかったです」と自分のパフォーマンスに納得がいっていない様子。

これで栃木は決勝の舞台に駒を進めた。「千葉さんは去年の天皇杯のチャンピオンですし、東京さんはリーグのチャンピオンと、チャンピオンチームとの対戦となります。チャレンジャーなので、やるべきことを準備してぶつかっていきたい」と安齋ヘッドコーチに驕りはなく、優勝へ意気込んだ。

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