フィンランド代表

華麗なオフボールの連携、チーム戦術のレベルではグループで最も充実

NBAオールスターのスターターにまで上り詰めたラウリ・マルカネンを中心としたフィンランドは、スペーシングとオフボールムーブで崩すオフェンス力が売りのチームです。複数の選手が鮮やかに連動していくプレーは美しささえ感じさせるレベルで、日本代表にとっては経験したことのないプレーかもしれません。

213cmのサイズがありながら高いシュート能力を持つマルカネンですが、その本質はシュート力よりもディフェンスを引きはがすオフボールムーブにあります。パサーとのタイミングの合わせ方も上手ければ、外に出ていく動きから鋭角に切り返してゴール下に飛び込んだり、スクリーナーになって自分のマークマンを動かしてから広いスペースへ飛び込むなど、多種多様なプレーでディフェンスを崩してきます。

しかし、ボールを持って突破していく個人技と違い、このオフボールムーブのすごさは理解されにくく、マルカネンもNBAでは苦労してきました。それがフィンランド代表ではチーム全体の共通理解になっており、マルカネンがいなくても華麗なオフボールの連携で崩してきます。特にシューターのサス・サリンやポイントガードのエドン・マックスフニはディフェンスを剥がすのも上手ければ、チームメートへタイミング良くパスを供給してきます。全員が3ポイントシュートを打ち、パサーにもなる戦術理解力がフィンランド最大の強みです。

今大会はオーストラリア、ドイツ、そして日本と同じグループに入りましたが、単純にNBAプレーヤーの数だけで言えば、マルカネン1人だけのフィンランドは個人能力では苦しむのではないかとの雰囲気があります。しかし、チーム戦術のレベルではグループで最も充実しているチームであり、最も面白いバスケを見せてくれるチームでもあります。華麗なる連携でどこまで勝ち上がるか、楽しみな今大会となります。