2019-20シーズンよりレバンガ北海道に加入し、キャプテンとしてエネルギッシュなプレーでチームを牽引してきた司令塔が、北海道の地を離れる決意をした。プロ選手として12年目を迎えるベテランだが、橋本が自身の強みとしているのは『闘争心』だ。それはプロ1年目のアイシンシーホース三河(現シーホース三河)時代から変わらない。気迫のこもったディフェンス、ここ一番でシュートを決める決定力を持ち、精神的支柱としてチームを支え続けてきた。そんな闘志あふれる橋本はさらなる成長を目指し、アルバルク東京の一員となった。北海道で得た経験や来シーズンへの意気込みについて聞いた。
「コーチの求めることをやっていくと勝ちに繋がる」
──北海道はシーズン中に佐古賢一ヘッドコーチの退任がありました。キャプテンとしても大変だったと思います。
まず、ヘッドコーチがシーズン途中で退任するということは何回も起こることではないと思いますし、僕自身も初めての経験でした。ヘッドコーチが変わることによってバスケットボール自体のスタイルだったり、コーチの大切にするモノが違うところもあると思うので、小野寺(龍太郎)ヘッドコーチのバスケットを自分が最も理解して、練習で落とし込んでいったり、みんなに伝えるっていう部分を優先してやっていこうと思いました。みんなもしっかりそこにフォーカスしてくれて、コーチの要求に応えられたからこそ勝ち星が伸びていったと思うし、移行期間はすごく大切にしました。
──大きく変わった部分はどこですか?
ペースをコントロールしてほしいということをすごく言われましたし、チームとしてシュートを作る、チームとしてディフェンスをするというのをすごく大切にしていました。その中で、去年は(中の)司や、(寺園)脩斗が後半から活躍してきたし、そういう良いところを出していきながら、チームとして我慢するスタイルが残りの試合でできたのかなと思っています。
──自分のプレースタイルは変わりましたか?
だいぶ変わりましたね。佐古さんのバスケットは相手の隙だったり、ある程度アグレッシブに攻めていきながらバスケットを展開していくモノだったと思いますし、それを自分が率先していこうと思っていました。自分としては、1シーズンの中で2人のヘッドコーチを経験したことや、そこのアジャストをしっかりできたこと。そして、佐古さんの時も小野寺さんの時も、コーチの求めることをやっていくと勝ちに繋がるということを経験できたのは、すごく良いことだったなと思います。
──北海道での4シーズンを振り返ってみて、心に残っていることはなんでしょう?
常にコロナがあり、4シーズン目には降格の危機も味わいましたが、毎シーズン濃かったです。成績で言えば、常に降格圏内だったり、そこに近いところでの争いをずっとしていたので、正直チームとして浮き沈みがあったり、良い状態をなかなか継続できなかったので、勝ち星をファンの皆さんにもっと届けたかった部分はありました。ただ、1人ひとりが成長していく姿を見せていくなど、僕としても責任を多く与えられた4シーズンだったと思います。また、違ったバスケットボールのスタイルを見させていただいたということが、次のアルバルク東京さんに行かせてもらえるきっかけになったと思います。一概に、負けているから成長していないとか、そういったことはないなというのをすごく実感させてくれたチームだったと思います。いろいろなことを任せてもらえて、人としてもすごく成長させてもらったので、レバンガ北海道にはすごく感謝しています。
若手が多かったですが、自分に対してもいろんな話をしてくれましたし、 チームはすごく仲が良かったですね。普通、負けたら軋轢が生じると思うんですけどそういったことはなく、みんなが前向きにやってくれたからこそ、この順位ながらに積み重ねられたモノがあったと思っています。
「勝つために自分の良さは絶対に出さないといけない」
──桜井良太選手は来シーズンでの引退を表明しました。どのような選手でしたか。
いろいろなことを話して、チームを良くしたいって思いで一緒にやってきました。レバンガ北海道を強くしたいという気持ちを心に大きく持った選手だなって思っています。チームがうまくいかない時は、どうしたら良くなるんだと時にはお酒を飲んだりしながら語り合いましたね。その後にしっかり練習をして、毎日を積み重ねていかなきゃいけないって何回も話しましたし、最後のシーズンを一緒に戦えないのは自分としては悲しいというか、一 緒に過ごしたいという思いもあります。ただ、やっぱり自分の目標もあっていろんな葛藤がある中で、移籍という道を選びましたけど、本当にそこに至るまで包み隠さず話せる存在だったので、そこも北海道にきて良かったなと思える部分です。僕を育ててくれた部分も大きいので、良い選手と巡り合えたなって。次にどう進んでいくかという話し合いを常にできたのは、本当に良かったですし、そういう志や気持ちを持った人と出会いたいと思わせてくれました。
──桜井選手には、移籍の報告はいつしたんですか?
毎年、お互いの状況を話して相談に乗ってもらうのでそこで話しました。良太さんは中立というか、僕の気持ちに立って常に考えてくれます。でも、僕は寂しいので少しは止めてほしい感じを出しました(笑)。シリアスな感じで話す時もありますが、本当にずっとコミュニケーションを取ってきたので、自分の状況も分かっていたと思うし、ずっとレバンガにいるので、いろんな人に「竜馬がこういう経緯で行くから、応援してあげてほしい」っていうことも常に言ってくれました。
──A東京への移籍について、その経緯を教えてください。
選手として、負けても成長できるとかいろんなことを言いましたが、シンプルに勝つことは良いことだとも思いました。勝った時の自分の満足感だったり、チームとしての成長速度を感じることは何にも変えられないモノだったので。いろんなことを加味して、自分が1番優勝できるチャンスがあるのはどこなのかっていうところを念頭に置いた中で、アルバルク東京さんが声をかけてくださって話をさせてもらいました。
──ちなみにその時点で他の選手の情報はない状態だったのでしょうか?
構想としてはあったと思います。ただ、もう少し自分が若かったら、誰が来て、誰が来なくてっていう状況を見て、自分自身が決断することもあったかもしれないですが、今回は自分がどんな役割だったとしても優勝したいので、可能性のあるところでやりたいということで、早い段階で自分の中で決めました。他の選手の動向というより、 自分自身がやりたいことや志に沿って決めさせてもらったことが大きいです。それはレバンガに対してもリスペクトじゃないですけど、決断を早くすることが良いことだと思いましたし、それが自分にできる最大の恩返しかなとも思ったので、すぐに真摯に伝えさせ てもらいました。
──最後にファンに対してアルバルク東京での目標と、注目してほしい部分を教えてください
優勝したいです。それが選手として一番望んでいることなので、そういう意味での思いがすごい強いかなと思います。勝つために自分の良さは絶対に出さないといけないと思うし、自分ができることは100%でやらないといけないと思っています。チームとしてどういう戦い方になっていくか、一人ひとりがどういうことでチームに貢献できるのか。それを見た時に良いチームだなと思われるチームになっていきたいと思っています。その中で、自分の闘争心だったり、新しく来る選手の何かを引き出していけば、もっと良いアルバルク東京になっていけると思います。もちろん、長年チームを率いていた田中大貴選手が移籍したことで、どうなっていくんだと思われるかもしれないですけど、新しく入るテーブス海だったり、福澤(晃平)も自分の志を持っていると思うし、自分の良いところを絶対に出してやるって思いで来ると思うんですよね。そういう意味で、どういうチームになるんだというのを楽しみにしてもらえればと。その中に自分も一つ良いエッセンスとしていられればと思います。最終的に必ず面白いチームになっていると思うので、応援をお願いします!
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