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国を挙げてのサポートでレナードやグリーンを上回る

1月5日、NBAオールスター2017ファン投票第1回目の途中経過が発表された。フロントコート部門ではキャバリアーズのレブロン・ジェームズがリーグ最多の59万5288票、ガード部門では同じくキャブズのカイリー・アービングが最多となる54万3030票を獲得している。

発表された東西カンファレンス2部門のトップ10を見ると、おおむね順当な名前が挙がっているが、昨年に続いて少々予想外の名前がないわけではない。まずは、西カンファレンスのフロントコート部門の途中経過を見てもらいたい。

1    54万1209票    ケビン・デュラント(ウォリアーズ)
2    43万9675票    ザザ・パチューリア(ウォリアーズ)
3    34万1240票    カワイ・レナード(スパーズ)
4    31万8144票    アンソニー・デイビス(ペリカンズ)
5    23万6315票    ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ)
6    20万2317票    デマーカス・カズンズ(キングス)
7    12万5278票    カール・アンソニー・タウンズ(ティンバーウルブズ)
8    10万1724票    ラマーカス・オルドリッジ(スパーズ)
9    10万0524票    ブレイク・グリフィン(クリッパーズ)
10    9万7370票    マーク・ガソル(グリズリーズ)

「?」が付くのは、同2位に入っているザザ・パチューリアだ。ジョージア出身のパチューリアは、インサイドの汚れ仕事も厭わない職人タイプのセンターで、バックスに所属した2015年3月20日のネッツ戦では、1試合でのNBA記録となる18本のオフェンシブリバウンドを含む21リバウンドを記録した。

しかし、キャリアスタッツ(7.1得点、6.0リバウンド、1.3アシスト)を見れば、決してオールスター級の選手とは言えない。人気チームであるウォリアーズに所属していることから、それなりの票を集めてもおかしくはないが、それでも同じチームのドレイモンド・グリーンよりはるかに多くの支持を集まているというのは解せない。

思えばマーベリックスに所属した昨年のファン投票でも、パチューリアは西フロントコート部門で4位の78万2339票を獲得した。そして今年は、昨年のオールスターで先発に選ばれたスパーズのカワイ・レナードよりも10万票ほど多い票数を獲得している。

これには理由がある。昨年のファン投票については、ジョージア大統領のギオルギ・マルグヴェラシヴィリがTwitterでパチューリアに投票したこと、そして同じくジョージア出身ポップスターのベーラ・イヴァニシヴィリの友人であり、VineスターでTwitterフォロワー数が300万人を超えるヘイズ・グライアーが同じくTwitterでパチューリアへの投票を呼び掛けたことが大きかった。

その他にもグラミー賞を受賞したヒップホップグループ『フージーズ』のワイクリフ・ジョンも、パチューリアへの投票を呼びかけるオリジナルソングを作り、SNS上で拡散するという力の入れよう。まさに国を挙げてパチューリアを支持しているのだ。

パチューリアの選手としての力量を否定するわけではないが、インターネット全盛期の現代では、こうしたことは起こり得る。これに対しNBAは、今年のオールスター投票から現役選手、メディアの票も認める形を取っている。この変更により、ファン投票が全体の50%、現役選手と投票権を持つメディアがそれぞれ25%ずつの配分となるため、ファン投票だけで東西のオールスター先発5選手が決まらない仕組みになった。

最終的にパチューリアが先発に選出される可能性は低いと言わざるを得ないが、改めてインターネットの拡散力のすさまじさを物語る一例と言えるだろう。そしてもちろん、パチューリアには人気先行ではなく、これに刺激を受けて真のスター選手へのステップアップを期待したい。