ハリソン・バーンズ

31歳のバーンズ「このメンバーで戦い続けられるのは特別なこと」

昨シーズンのキングスは48勝34敗で西カンファレンス3位に食い込み、16シーズンの長きに渡り遠ざかっていたプレーオフへと進んだ。そのプレーオフでは経験で圧倒的に上回るウォリアーズを相手にファーストラウンドで敗れたものの、若いチームは経験を積み、新シーズンにはさらなる飛躍が期待される。

若手中心のチーム作りに結果が出て、その主力の大半が来シーズン以降も契約を残す状況で、今オフのキングスはハリソン・バーンズの契約満了とリショーン・ホームズ放出により、サラリーキャップに空きを作ってフリーエージェント市場に臨んだ。

噂されたドレイモンド・グリーン、カイル・クーズマ、クリス・ミドルトンとは何らかの交渉はあったのだろうが、彼らはそれぞれ残留を決断。これを受けてキングスは3年5400万ドル(約73億円)の契約でバーンズを呼び戻した。かくして31歳のバーンズは、NBAで12回目の開幕をキングスで迎えることになる。

キングスのモンテ・マクネアGMは「フリーエージェント市場での補強を検討しなかったとは言わない。我々はすべての選択肢を検討した。昨シーズンのチームをそのまま継続するという選択肢が魅力的だということはずっと分かっていた」と語る。

おそらく、若いチームに足りない勝負強さとバスケIQを補うという意味で、補強ターゲットの一番手はドレイモンド・グリーンだったのだろう。彼は1年前にジョーダン・プールを殴る事件を起こしたが、コート上で信頼を取り戻してウォリアーズとの新契約を勝ち取っている。

キングスはウォリアーズよりも良いオファーをグリーンに出すことができ、実際にそうしたのだろうが、契約には至らなかった。ここでマクネアGMは方針転換し、バーンズを呼び戻した。

バーンズは31歳とベテランだが、昨シーズンはレギュラーシーズンの82試合、プレーオフの7試合すべてに出場。一昨シーズンも77試合出場と、年齢による身体能力の衰えは感じさせない。「ハリソンは31歳になったばかりで、他の主力は27歳以下だ。もうチームに伸びしろがないとは言えないと思う」とマクネアGMは言う。

ウォリアーズの4年、マーベリックスの2年半を超えて、バーンズにとってキャリアで最も長く在籍するチームがキングスになった。「NBAはビジネスだから何が起きてもおかしくないけど、このメンバーで戦い続けられるのは特別なことだ」とバーンズは言う。

ディアロン・フォックス、ケビン・ハーター、ハリソン・バーンズ、キーガン・マレー、ドマンタス・サボニスというスターターは昨シーズンから変わらず、ガードではマリーク・モンクとデイビオン・ミッチェルがエースであるフォックスの良いサポート役となり、クリス・ドゥアルテとケスラー・エドワーズがウイングとしてハードワークとダイナミズムをもたらす。トレイ・ライルズをセンターで起用するスモールラインナップも昨シーズン以上に機能するはず。

新戦力はペイサーズでサボニスとのプレーを経験しているクリス・ドゥアルテ。そしてユーロリーグの得点王にしてMVPのアレクサンダー・ベゼンコフ。NBAのルールとリズムに順応する時間は必要だろうが、チームバスケが出来上がっているキングスは馴染みやすい環境だろう。

ドレイモンド・グリーンが加わっていれば、昨シーズンのキングスのバスケは彼の強烈な個性に多かれ少なかれ染められていただろう。その未来がどんなものかも興味深いが、キングスのファンにとって驚きと興奮の連続だった昨シーズンからの継続路線は、歓迎すべきものであるはずだ。