西田優大

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

「チャレンジャー精神でベストを尽くす」を実践

昨日の決勝で専修大を破り、東海大は5年ぶり5回目のインカレ制覇を成し遂げた。平岩玄が大会MVPを受賞し、優秀選手賞には西田優大と八村亜蓮が選ばれた。2年生エースの西田は、1試合を通して攻撃だけでなく守備でもタフに戦い通すメンタルの強さを備えるとともに、1年生で先発を張る大倉颯太や八村をサポートする懐の深さも出てきた。昨年は1年生ながら主力として起用されたが、チームは無冠に終わった。その悔しさを果たすためにチームプレーに徹し、それでも試合の重要な局面では勝負強さを発揮して、リーグ戦の優勝とインカレ制覇へと東海大を導いた。

エースとしてプレーして『決める』ことにこだわるスタイルを変えて、なおかつ持ち味を残すのはそう簡単ではない。「ディフェンスでチームに良い影響を与えることもあると思うんですけど、チームのオフェンスがうまくいかない、颯太でも得点が取れない時に自分がやらなきゃいけないのが難しいところでした。リーグの最終戦が無得点で、ディフェンスだけなら自分じゃなく他の選手でもできる、という不安もあって。そんな中でインカレだけ見たらシュートも入って、もっと自分にはできることがあるんじゃないかと感じました」

優勝候補の期待に違わぬ盤石の強さでインカレを制した東海大だが、西田はシーズンの最初から「チャレンジャー精神でベストを尽くすのが大事」と繰り返してきたし、1年を通してチームは右肩上がりに向上する一方で、彼自身は山あり谷ありと苦しい思いもした。

「消化不良な試合も結構多くありました。高校の時からそうですけど、シュートが入ることが精神安定に繋がるので、シュートが入らないと悪循環になります。その時はディフェンスにプラスアルファしてシュート、少ないチャンスの中で決めなければ、という思いでした」

西田優大

「我を出すよりは、チームのために」

大学で初めてのタイトルを取っても「ホッとしています。リーグよりもインカレでは貢献できたと思うので」と、西田にとっては喜びよりも安堵の感情が大きい。「あまり実感がなくて。勝ったうれしさも、今日より昨日の方が大きいです」

リーグとインカレを制して2018年のシーズンを締めくくることはできたが、彼らに休む暇はない。ちなみにBリーグでのプレーについては「意識してないわけじゃないです。去年に2年生だった(平岩)玄さんが特別指定で琉球に行ったので、チャンスはあるかもしれない」とのこと。

いずれにしても、「日本代表でプレーすること」と目標を高く掲げる西田にとって、この冬も自分をレベルアップさせる期間となる。

「ディフェンスは大学でもやれることが証明できていると思います。あとは相手のピックへの対応だったり、臨機応変にアジャストする力をもっと付けていかないといけないです。来年からはもう上級生になるので、プレーの面よりはリーダーシップを意識して。オフシーズンにはなりますが練習はあるので、そこをもっと意識してやっていきます。あとはノーマークのシュートをもっと決めきること。それはインカレでいくつもあったので、その確率を上げることが来シーズンに向けた課題です」

来年にどんなプレーをしたいか、という問いに西田はこう答える。「我を出すよりはチームのためにという思いが強いので、自分が20点取りたいとかの我を出してチームの雰囲気を悪くするのはダメです。良い形でもらってシュートが入る分には良いですけど、苦しい時間帯にディフェンスでチームを引っ張ることのできる選手になれたらと思います」