ジョシュ・ハートも同意見「第2戦でのキャブズの強さは忘れない」
キャバリアーズとのファーストラウンドを戦っているニックスは、敵地での初戦で先勝を挙げた後、第3戦、第4戦とホームゲームを守って3勝1敗、シリーズ突破に王手を掛けた。
長らく低迷期にあったニックスは、2020-21シーズンに7年ぶりのプレーオフ進出を果たしている。それでもこの時は、チームリーダーに成長したジュリアス・ランドルを始め経験の浅い選手たちがプレーオフの舞台に委縮してしまい、負けがこんだことで冷静さを失って、レギュラーシーズンの良さを全く出せないままホークス相手に敗退した。再び迎えたプレーオフの機会、今回は気持ちで負けることなく、自分たちの力が出せている。
第4戦ではシックスマンのジョシュ・ハートが先発に抜擢され、19得点7リバウンド、そして相手のエースであるドノバン・ミッチェルにダブルチームを仕掛けてオフェンスから締め出すなど奮闘。調子の上がらないランドルに代わってオビ・トッピンとアイザイア・ハーテンシュタインの控えインサイド陣が身体を張ったプレーでキャブズの強力なビッグマンと互角以上に渡り合うなど、チーム全体で良いパフォーマンスができている。
チームを牽引したのはゲームハイの29得点に加えて6リバウンド6アシストを記録したジェイレン・ブランソンだ。2年前のプレーオフでは見られなかった精神的なタフさ、勝利への強い気持ちをニックスに注入している。
昨シーズンまでのブランソンはマーベリックスでルカ・ドンチッチに続く2番手のガードだった。それがニックス加入を機にエースとなり、その役割を十分にこなしている。
「それがプレーオフだろうが重要な試合だろうが、バスケに関するすべてのことへの僕のアプローチは何も変わらないんだ。役割は変わってもメンタルは変わらず、できるだけ一貫性を保つよう意識している」と、試合後の会見でブランソンは言う。
会見に同席したのはジョシュ・ハートで、ブランソンとはビラノバ大で一緒にプレーした仲。そのハートはブランソンについてこう語っている。「彼はずっとこのスタイルで、シュートを数本しか打たない試合でも20本打つ試合でも、同じメンタリティでプレーしている。チームメートを助け、試合をコントロールし、チームを勝たせる。役割は変わっても彼のこのメンタリティは決して変わらない」
第4シードのキャブズと第5シードのニックスは実力伯仲、だからこそ先に敵地で1勝を挙げ、ホームゲーム2試合を守ってシリーズ突破に王手を掛けたことには意味がある。ブランソンは「確かにそうだけど、ゴールはまだまだ先で、祝うべきこと、喜ぶべきことは何もない」と素っ気なく語る。「今夜は僕らが目指す場所に一歩近付いたけど、ただそれだけ。これまでの数試合で持っていたのと同じメンタリティでやっていくよ」
ハートも同じ気持ちだ。「第2戦でのキャブズの強さは忘れない。次はまたクリーブランドでの試合だから、熱狂的な観客がいて、僕らを威圧するような雰囲気になるだろう。だからこそ僕たちはチームとしてもっと向上し、細かいところまで集中を行き渡らせて、目の前の仕事に専念したい」
ブランソンはこう付け加えた。「次の試合でシリーズを終えるなんて気持ちは持たない。追い詰められたキャブズは必死になって向かってくる。僕らも一つひとつのポゼッション、クォーターに集中して戦い続けるつもりだ」