ルディ・ゴベア

アンソニー・エドワーズが第2戦に41得点、第3戦で36得点と奮闘するも勝てず

ナゲッツとティンバーウルブズの第3戦は、二コラ・ヨキッチのファウルトラブルというアクシデントはあったものの、ナゲッツが危なげなく3連勝を飾りました。フリースローはティンバーウルブズの35に対して13とアウェーの環境にやや苦しんだものの、32ものアシストから6人が2桁得点のバランスアタックとなりました。

ウルブズからすると2試合で得たナゲッツ対策を実行しきれなかった感があります。初戦では39本も打たれた3ポイントシュートを、第2戦はヨキッチには1on1をやらせて連携を阻害して22本まで減らしました。代わりにヨキッチとジャマール・マレーの個人技アタックに67得点を奪われましたが、パッシングとオフボールムーブで次から次へと展開されるよりディフェンスの的を絞ることができました。ナゲッツのバランスアタックを封じるのは、正しいゲームプランに見えます。

この第3戦も同じ形で守り、第1クォーターだけでヨキッチに11点を奪われながらも、ヨキッチの消耗が大きいことも含めて内容は悪くありませんでした。ところが第2クォーター以降のヨキッチは9得点11アシストで、個人技での得点ではなくチームオフェンスの起点を演じられました。第2戦から続くゲームプランが崩れたことが、敗れたこと以上にウルブズの苦しさを表しています。

最大の要因はヨキッチのマークをしていたルディ・ゴベアが余計なファウルを繰り返したことです。ヨキッチに『1on1をやらせる』のは、ゴベアならばそれなりに止めると期待してのものであり、完璧に止めきれなくても『ナゲッツにボールムーブされるよりはマシ』だからこそのリスクマネジメントですが、ヨキッチのアタックを上手く守りきった直後にパスカットを狙ってファウルなど、完璧に止めたいがためにリスクを取るゴベアの欲求が強すぎました。

ウルブズのラインナップでは、カール・アンソニー・タウンズがアーロン・ゴードンを守ることになります。そのゴードンにカットプレーを促すスクリーンをマレーが掛けるなど、一般論では考えにくいオフボールに対処できず、要所要所でタウンズのディフェンスが狙われてしまいました。スクリーンやハンドオフ、オフボールムーブを組み合わせるナゲッツの多彩なオフェンスは対処が難しい上に、ツインタワーではスイッチを前提としたディフェンスができない相性の悪さもあり、あまりにも簡単に崩されてました。

ツインタワーの問題は、ディフェンスだけでなくオフェンスにもありました。アンソニー・エドワーズは第2戦の41得点に続いて、第3戦は36得点と大活躍で、ナゲッツのディフェンスを大いに困らせていますが、ウルブズのオフェンスはツインタワーをコートの中央に配置しているため、エドワーズのドライブコースを潰してしまうことが頻繁に起こっています。

特に試合終盤の局面でもツインタワーを使ったオフェンスに固執しすぎて、エドワーズのドライブアタックが影を潜めてしまいました。第3戦もラスト4分でのエドワーズのアテンプトは3ポイントシュート1本のみで無得点と、それまでの活躍が嘘のように得点が止まり、チームとして機能不全に陥りました。

シュートの上手いタウンズをコーナーに置いたり、ゴール下で押し込む能力の高いゴベアをエンドラインに配置したり、エドワーズとタウンズでツーメンゲームを展開したりと、いくらでも工夫できるように見えますが、この問題は何もプレーオフで突如として出てきた現象ではなく、シーズン通して解決してこなかったもので、今更どうにもできないのかもしれません。

ジェイデン・マクダニエルズがケガで欠場しているとはいえ、カイル・アンダーソンやトーリアン・プリンスなど控えのウイングは充実しており、ナゲッツのオフボール戦術への対処とエドワーズ中心のオフェンスへ移行するため、ツインタワーを辞めるのも一つの手段です。昨年オフのゴベア獲得で抱いたツインタワーの夢が、ウルブズをスウィープ負けの危機に陥れています。