名古屋Dの3ポイントシュート攻勢に沈む
ライジングゼファー福岡は昨日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズをホームに迎え撃った。この日が新たな本拠地である照葉積水ハウスアリーナのこけら落とし。是が非でも勝ちたい試合だったが、結果は81-102で悔しい敗戦となった。
試合後、福岡のどの選手も第1クォーターの出だしのディフェンスの拙さを敗因に挙げた。名古屋Dが得意とする3ポイントシュートを警戒していたはずが、素早いパスワークからフリーを作られては気持ち良く打たれ、11本中8本を決められ第1クォーターで34失点。第1クォーター終盤からはディフェンスを引き締め、第2クォーターには反撃に転じて一度は逆転に成功したが、そこでパワーを使いきった形となり、後半は再び引き離されて大差の試合となってしまった。
城宝匡史は「相手の3ポイントシュートが入ったこともありますが、打たれすぎた。準備期間が短かったですが、今日で4回目の対戦なので言い訳にはなりません」と語る。名古屋Dのシュートが当たっていたというより、自分たちのディフェンスが緩く相手を乗せてしまったということだ。
福岡は開幕7連敗を喫した時点で河合竜児ヘッドコーチを事実上の解任。アソシエイトコーチだったボブ・ナッシュを後任に据えたが、その後も4勝11敗と厳しい戦いが続いている。新アリーナの完成で流れを変えたかったところだが、その大事な初戦で立ち上がりの課題が出てしまった。
「本当の意味でまだチームでは戦えていない」
優勝候補のチームと比べれば見劣りするかもしれないが、福岡はB1で戦っていけるだけのタレントを擁している。あとはチームとしてまとまることが大事だが、事はそう簡単ではない。キャプテンの山下泰弘は言う。「新しい体育館でソフトバンクさんともコラボさせていただき、勝ちたい試合だったんですけど、こんな結果になってしまった。今シーズンずっとそうですけど、チームで戦えていない部分がある。みんな『チームで』と言うんですけど、本当の意味でまだチームでは戦えていない」
ヘッドコーチ交代はカンフル剤にはなるが、バスケットのスタイルを変えて再出発することは、プレシーズンから積み重ねてきた準備を捨てて一度ゼロになることも意味する。今の難しさを、山下はディフェンスを例に挙げてこう説明する。「コーチは具体的なディフェンスの守り方として『ウチはこうだ』という決めごとをしないタイプで、選手の中でも『自分はこうしたい』、『彼はこうしてほしい』ということがあって、まとまりきれない部分がある」
4勝18敗は横浜、滋賀と並んでリーグ最下位の成績。すでにシーズンは3分の1を消化しており、そろそろチームとして噛み合ってこないと後半戦が厳しいものになる。経験豊富な山下はチームとしてまとまれない原因を「30オーバーがいて変にオトナなチームになりすぎちゃって、見て見ぬふりをするところが自分にもある」と語る。
「なんとなく争いを避けてしまっている部分がありますが、負けるよりは勝ちたい。そういったところを本気で言い合わないといけないところに来ている」
「このアリーナで戦う限り、年内のあと4戦すべて勝つ」
2年連続昇格を果たした福岡は、B1に定着してその上のレベルを目指すために、大幅なチーム再編に踏み切った。そこにヘッドコーチ交代も重なったのだから、スタートで出遅れたのは無理もない。クラブの判断が正しかったかどうかは、この先にチームがいかにまとまり、個々のタレントの力を引き出せるかにかかっている。
津山尚大は「新しい会場で新鮮な気持ちでバスケができて気持ち良かった。それだけに勝てなくて悔しいです」と唇を噛んだ。すぐに結果は出なかったが、新アリーナ効果がないわけではない。山下は「このアリーナで戦う限り、年内のあと4戦すべて勝つつもりで仕切り直して戦う」と話す。
今週末と来週末まで照葉積水ハウスアリーナでの試合が続く。4勝18敗で並ぶ滋賀と、5勝17敗の北海道がその相手。『残留争い』と呼ぶにはまだ時期が早いが、なかなか波に乗れないチーム同士の対戦を制すれば一気にジャンプアップできる。逆にここで負けが続くようだと、次に立て直すきっかけをつかむのはそう簡単ではないはずだ。
立派な新アリーナの完成を転機とできるか。福岡は今、シーズンの正念場を迎えている。
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