逆転負けで澁田が再認識した、悪い流れを断ち切る強さと我慢強さの欠如

4月8日、中地区8位の新潟アルビレックスBBは同地区3位のサンロッカーズ渋谷と対戦。前半こそ速攻や高確率の3ポイントシュートでリードするも、後半の得点が伸び悩み83-89で逆転負けを喫した。

新潟は、第2クォーター中盤まで持ち味とするトランジションオフェンスと、インサイドでアドバンテージを取れるコフィ・コーバーンを中心に得点を重ねて、途中10-0のランにも成功する。また、コーバーンは得点だけでなく、SR渋谷のディフェンスが自分に寄ったタイミングでアウトサイド陣にキックアウトするなど起点としても活躍。そのコーバーンのパスから何度もシュートを沈めて3ポイントシュート3本を含む13得点を挙げた先発ガードの澁田怜音は「コフィ選手のキックアウトからシュートを狙う準備をしていました。彼からも『もっと打ってほしい』と言われているので、自信を持って打っています」と、ビッグマンとの連携を振り返った。

しかし、15点リードで迎えた前半のオフィシャルタイムアウト明けから流れが一変してしまう。SR渋谷の2-3のゾーンディフェンスの前に、オフェンスの起点となるコーバーンにパスが通らなくなる。その結果、スムーズにボールを動かせなくなり、我慢し切れずタフショットやターンオーバーを喫してしまい流れを渡してしまった。

後半以降はシュートチャンスを減らし第4クォーターを無得点で終えた澁田は、次のように試合を振り返る。「第1クォーターはディフェンスから、相手が戻る前に速い展開に持ち込むことができていましたが、ゾーンをされてからリズムを取り戻すのに手間取ってしまい、そのまま後半に入ってしまいました。(劣勢から)ゲームを立て直すことはシーズン序盤から苦戦しているので、いち早く悪い流れを断ち切る強さと我慢強さを手に入れないといけないです」

この日SR渋谷が仕掛けた2-3のゾーンは、新潟が前節対戦した富山グラウジーズも使用していたディフェンスで、今回の試合と同様に富山戦でもボールムーブに苦しんでいた。澁田は前節の課題を克服できなかったことに悔しさを見せる。「前節の富山戦からゾーンアタックに対するチームの遂行力が低く、今回もそこを渋谷さんにスカウティングされたと思います。起点となるコフィ選手が封じられると、インサイドでアドバンテージを取れないですし、そこからの2手、3手目の攻撃パターンが足りませんでした。アウトサイド陣が確率良くシュートを決めている時は、コフィ選手からのキックアウトからなので、シュート確率も落ちてしまいました」

降格圏脱出に向けて一戦必勝へ「チーム全員が危機感を持って勝利をつかみたい」

今回の試合でも新潟の課題となった我慢強さを手に入れるために、澁田はガードの力が必要だと話した。「僕らはファストブレイクを狙う速い展開を好み、どの選手でもプッシュできるのが特徴です。でも、プッシュしてシュートを狙えなかった時にターンオーバーが多く出てしまっています。そういう時に、ガードがボールをもらってコントロールすべきです。手っ取り早く、そしてミスなく我慢強さを表現できるのは、コントロールできるポイントガードだと思うので意識していきたいと思います」

コナー・ヘンリーヘッドコーチもガード陣のボールコントロールを大事な要素一つとして挙げている。「ポイントガードたちにはボールを持ってコントロールしてほしいです。ガードがコントロールすることによって、ビッグマンがスクリーンをかけることができて自分たちのリズムが出てくるので、ボールから遠くに行くのではなくて、もらいに行ってコントロールしてもらいたいと思います」

2人が話すように、接戦を勝ち切れない新潟にとってボールコントロールを担うポイントガードの責任は大きい。澁田も「僕がボールを受けに行くだけなので、今すぐにも変えられるところです」と強い意識を持っている。その中で、リーグ屈指の力を持つコーバーンのインサイドを生かすことを忘れていない。「僕がとにかく点を取るチームではないので、周りを生かしながら圧倒的アドバンテージを持つコフィ選手を使うことを意識して自分たちの展開にしたいと思います。今はとにかく勝ちが欲しい状況なので、チーム全員が危機感を持って勝利をつかみたいです」

新潟は澁田が話すように、とにかく勝ちが欲しい状況だ。4月8日の試合結果により、降格圏脱出ラインにいる全体16位の滋賀レイクスとは3ゲーム差がついた。全体17位の富山との対戦を2試合控えているが、富山に連勝するだけでは残留が厳しくなり、残り11試合で最低でも4勝以上がマストとなっている(滋賀に負け越しているため)。

シーズン前の外国籍選手の契約解除や、シーズン中盤でのヘッドコーチ交代など苦しい状況が続く新潟だが、4月1日、2日のレバンガ北海道戦で今シーズン初の連勝を手にするなど、少しずつ上向いている。あとは、今回の試合で明確となったボールコントロールの課題を克服し、澁田が勝たせるガードになるだけだ。残りのレギュラーシーズンを一戦必勝体制で臨む新潟を率いるキャプテンの澁田は、今後の戦いに向けて強い意志を見せる。「まずは第2戦を絶対勝たないといけないですし、ここからはどの試合も落とせません。チームが良い方向にまとまるように、試合中はもちろん練習の時からコート内外で自分の出せるものを出していきます」