最後までプレーの強度を落とさず、茨城相手にオーバータイムの激闘を制す

3月22日、アルバルク東京はホームで茨城ロボッツと対戦した。ともに外角シュートの成功率が悪くロースコアの展開となる中、インサイドの攻防で優位に立ったA東京がオーバータイムにもつれた熱戦を86-76で制した。この勝利によりA東京は、ホーム連勝をB1新記録の18に伸ばしている。

試合の出だし、A東京はコーナーからの3ポイントシュートなど長距離砲が全く入らない。オープンで打ててはいたが、デイニアス・アドマイティスヘッドコーチは、シュートセレクションについて良くなかったと明かす。「1つのパスでかなりワイドオープンとなり、逆に打たされてしまったイメージがあります。しっかり組み立ててオフェンスをしたいのに、単発なシュートを打ってしまった。逆に茨城さんは時間を使いながらボールを回して、良いオフェンスに繋げていました」

実際、A東京は第1クォーターで3ポイントシュート8本中1本成功を含むフィールドゴール19本中4本成功とオフェンスが機能せず。一方、茨城も3ポイントシュートは6本中1本成功と不発だったが、山口颯斗のドライブなどゴール下への積極的なアタックで得点。出だしでA東京は9-15と出遅れてしまう。

だが、第2クォーター以降はセバスチャン・サイズ、アレックス・カークの両ビッグマンを軸に、高さの優位を生かしたインサイドアタックを粘り強く行うことで反撃に成功。29-30と互角の展開でハーフタイムを迎える。後半に入ってもお互いに強度の高いディフェンスを継続し、試合は一進一退の攻防となり試合はオーバータイムへと突入する。

オーバータイムになるとA東京が最後まで堅守をキープしたのに対して、茨城は強度が落ちてしまう。その結果、生まれたイージーシュートのチャンスをしっかり生かしたA東京が粘り勝ちした。

「渋谷に負けた時と同じことを繰り返したくないと思った。よりアグレッシブに攻めた」

この試合、A東京のロシターは20得点12リバウンド9アシスト2スティールと、あと一歩でトリプル・ダブル達成となる見事なプレーでチームを牽引した。

「水曜ゲームはいつもタフで、特にシーズン終盤はみんな疲れているのでよりタフになる。その中で最も重要なのは、試合に勝つこと。(残り2秒で追いつかれた)第4クォーターに勝ち切れるチャンスはあったけど、最後に止められなかった。だから、オーバータイムの5分ですべてを出し切る気持ちだった。最初に2本連続で決めてリードしたことで、相手は少しパニックになったのかもしれないね」

このように試合を総括するロシターは、全20得点の内、第4クォーターとオーバータイムで14得点を記録。勝負どころで、より積極的に得点を狙った理由をこう語る。「特に試合の終盤、コーチは僕に預けて、シュートを打ったり、アタック、パスとプレーの決断をさせたいと思っていた。自分でより得点を取りに行こうという気持ちが、少しは強くなったかもしれない。どんな状況でも正しいプレーをするだけだけど、第4クォーターに負けていて、土曜日の渋谷に負けた時と同じことを繰り返したくないと思った。だから、よりアグレッシブに攻めてシュートを決めることができた」

現在、A東京は田中大貴、小酒部泰暉とハンドラーを務める中心選手が離脱中だ。それに伴いロシターがボールプッシュをする場面も増えるなど、攻守に渡ってより負担が増えている。その中でも、ここまでの全43試合に出場し、平均10.5得点、10.2リバウンド、4.0アシストと、オールラウンダーとして素晴らしい数字を残している。

タフなスケジュールでも毎試合、強度の高い安定したプレーを続けているロシターだが、自身のコンディション管理には確固たる自信を見せる。「僕はこれまでずっとバスケットボール第一で規則正しい、節制した生活を送っている。そして毎試合、多くの時間をプレーすることにプライドを持っている」

また、A東京加入1年目の昨シーズンは、故障に苦しみBリーグ開幕後では最少の38試合出場に留まった。チャンピオンシップも欠場した苦い経験を、今シーズンに生かしていると話す。「昨シーズンは故障から復帰すると、またケガをする感じで2月からシーズン最後まで苦しんだ。そこから学んだものがあり、今は試合前、試合後によりリカバリーをしっかりできるようになったよ」

「最も重要なのは、いかに良いコンディションでチャンピオンシップに臨めるか」

そして、引き続き多くの故障者を抱えながら戦っているチーム状況をさらなる成長の機会にしたいと続ける。「もちろん、誰かがケガをするところは見たくない。故障者が多いことを『負けても仕方ない』と言い訳にすることはできる。だけど、僕たちは、この状況をチャレンジととらえている。新たに選手がステップアップし、チーム一丸となって勝利をつかむのは素晴らしいものだ」

ホームでの連勝をA東京が伸ばす一方、東地区首位の千葉ジェッツの連勝記録が遂に止まりゲーム差は4に縮まった。「地区首位の座は狙っている」と語るロシターだが、一方で順位について意識することはない。

「これは自分たちでコントロールできるものではない。だから、千葉の成績について気にすることはないよ。僕たちがフォーカスするのはできるだけ多くの試合に勝ち、自分たちを成長させること。その結果による状況を受け入れるだけだ。それに、今のBリーグは実力が拮抗している。すべてのチャンピオンシップは、最初からタフな戦いとなる。もうクォーターファイナルで、上位チームの方が有利という実力差はない。例えば第1シード、もしくは第2シードになっても今の順位なら相手は広島(ドラゴンフライズ)か、名古屋(ダイヤモンドドルフィンズ)になるし、彼らは本当に手強い。最も重要なのは、いかに良いコンディションでチャンピオンシップに臨めるかだと思う」

満身創痍のA東京において、引き続きロシターが担う役割は大きい。昨シーズンの悔しさを糧に心身ともにより逞しくなった彼は、この過酷なミッションをこなす準備がしっかりできている。