4カ月ぶりに戦線復帰、ラストプレーを託され「心の中では笑っていたよ」
エースのアンソニー・エドワーズを3試合連続で欠いても、第4クォーター残り8分に11点のビハインドを背負っても、ティンバーウルブズはひるまなかった。右足ふくらはぎのケガが長引いたカール・アンソニー・タウンズが約4カ月ぶりに戦線復帰し、早速チームの精神的支柱としてポジティブな存在感を発揮していたからだ。
長期の戦線離脱から復帰した選手にとって非常に難しい、平常心を保ってプレーすることを、彼は自然にやっていた。無理にハッスルするでもなく、消極的になってしまうのでもなく、いつもと違うプレーをするでもなく、自分にできることに集中してチームのためにプレーしていた。そして何より、久しぶりにホームコートに立ち、ファンの歓声を浴びるのを楽しんでいた。
ウルブズも対戦相手のホークスも、ポストシーズンを見据えて一つでも多く勝ち星を積み上げなければいけない状況で、終盤まで一進一退の攻防が続いた。第4クォーター残り7秒、ウルブズは123-124と1点ビハインドでトレイ・ヤングの攻めを何とかしのいでタイムアウトを取る。エドワーズ不在の状況で、指揮官クリス・フィンチは最後のチャンスを迷わずタウンズに託した。
そのタウンズはジョン・コリンズとの1対1でファウルを獲得。ホークスはチャレンジするも判定は覆らず、残り3.1秒でタウンズがフリースローラインに立つ。ウルブズファンが息を吞んで見つめる中で、彼は2本ともスウィッシュで成功させてチームを勝利へと導いた。
勝敗の懸かった緊迫した場面だが、試合後のタウンズは「笑いはしなかったけど、心の中では笑っていたよ」と楽しそうに話す。「映画のシナリオみたいなものだ。ターゲット・センターの満員の観客を前に、タイムアウトを使いきった残り7秒の場面でボールを持つ。これ以上のことはないよね。僕はすごく長い間、ベンチに座って試合を眺めていた。チームに貢献したい、仲間たちの助けになりたいとずっと思いながらね。その願いがようやく実現したんだから、笑顔にならないわけがないよ」
「51試合も欠場した後に、僕に自信を持たせてくれたコーチに感謝しなきゃいけない。パスをもらう前から僕は心の中で笑顔になっていた。絶対に失敗するわけがない、自分の思い通りに試合が進むだろうと予感していたよ」
会見でのタウンズは、心の中ではなく本当の笑顔を弾けさせ、いかに自分がハッピーなのかを饒舌に語った。「試合に出れた時点で最高の気分だった。26分しかプレーしていないのに、35分出場したぐらい疲れたけど、素晴らしい気分だよ。積極的にプレーできたし、上手く試合のリズムに乗れた。それはチームメートの助けも大きかったと思う。とにかくコートに立ててハッピーだし、チームの役に立ててうれしい。ファンが僕に示してくれた愛情にも感謝している」
レギュラーシーズンはクライマックスを迎え、緊張感が高く気の抜けない試合が続くが、タウンズはウルブズに攻守で貢献するだけでなく、この難局を乗り越えるためのポジティブなパワーをもたらしてくれそうだ。
彼は言う。「長く欠場した後の復帰戦はナーバスになるなんて言われているけど、僕の場合は全然違ったな。このジャージーを着てコートに立てただけでハッピーでエキサイティングで、とにかく最高だった」