文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「チームでリズムを作れていて、僕は打つだけだった」

千葉ジェッツは富山グラウジーズから2勝を挙げ、連勝を13に伸ばした。東地区の「2強」であるアルバルク東京と栃木ブレックスを猛追、そのすぐ後ろに迫っている。

この好調なチームを支えているのは、千葉が誇るピュアシューターの石井講祐だ。

接戦となった富山との第1戦では5本の3ポイントシュートを含む19得点、第2戦では7本の3ポイントシュートを含む26得点と勝利に貢献した。富山のヘッドコーチ、ボブ・ナッシュも「石井選手に1日目、2日目ともに確率良く3ポイントシュートを決められたのが敗因の一つ」と、その名前を挙げてプレーを称賛した。

18日の試合後、7本もの3ポイントシュートを沈めて勝利の立役者となったにもかかわらず、あくまでチームオフェンスの良さをを強調した。「チームでいいアシストからリズムを作れていて僕は打つだけだったので、気持ちよく打てました」

もちろん3ポイントシュートが一番の武器ではあるが、相手の出方によってプレーを変える判断力も研ぎ澄まされている。「まずは3ポイントシュートありきだと思うのでそこは積極的に狙って、そこをケアして詰めてきたら、ドライブしてアシストだったり、ジャンプシュートだったり、そこは対応しようと思っています」

「相手を見ながら、出てこなかったらスリーを打つだけ」。当たり前のように言うが、それで決められたら苦労はない。正確なシュートを打っているのはもちろん、早い展開の中でも落ち着いて周囲がしっかり見ることができているからこそのプレーだ。

「2年前くらいから代表に絡むというのが目標にありました」

石井は男子日本代表の重点強化選手に選出されている。「3ポイントシュートが評価されたと思うか」との質問に対して、それ以外の部分も評価されたと答えた。「ディフェンスやリバウンドなど細かいところも評価してもらったんだと思います」

石井が自信を持って言うように、完勝した富山との2戦目では前日に29点を許した城宝匡史を8得点に抑えている。また4アシスト2スティールを記録し、得点以外のプレーも高水準であることを証明している。

代表への意欲を石井はこう語る。「2年前くらいから代表に絡むというのが目標だったので、一つ段階をクリアできました。まだ70人近くいるうちの一人なので1試合1試合アピールしていきたいです」

日曜の船橋アリーナには5000人を超える観客が集まった。連勝が続いていることもあり、アリーナは半端ではない盛り上がり。この環境でプレーできることに石井は「うれしいし、気持ちいいです」と素直に答えた。

ただ、記者から「3ポイントシュートを決めて観客を煽る選手もいるが?」と問われると、そこは「僕はしないです」と素っ気ない。「あまり外に意識が向いちゃうとダメなので、自分とチームに意識を向けるようにしているので。流れで出たらそれでいいかなって感じです。ガッツポーズに関して言えば、あまり意識してやろうとは思っていないです」

日本代表に招集されたことでモチベーションが上がり、それでいて目の前の試合への集中がブレることもない。熱い闘志を胸に秘め、淡々とした口調で語る石井。リーグで結果を出し、代表の強化合宿でレベルアップして「千葉の石井講祐」から「日本の石井講祐」へとフライトを開始する。