マイク・ブーデンフォルツァー

「競争心が高く、誇りを持ち、無欲であることが必要」

マイク・ブーデンフォルツァーはサンズの新たなヘッドコーチとなり、現地5月17日に就任会見が行われた。アリゾナ出身の彼にとって願ってもない機会であることは間違いない。「すべてに興奮している。このチームが月にあったとしてもコーチを引き受ける。アラスカでもデンマークでも、この選手たち、オーナー、フロントオフィスのいるチームでコーチをやれるなら私はどこにでも行くよ」というのが、ブーデンフォルツァーからサンズファンへの最初のメッセージとなった。

昨シーズンまでバックスを率いていた彼は、1年間の充電期間で少し痩せ、快活さを取り戻したようだ。その表情は明るく、快活な態度でこう語る。「オーナーとフロント、コーチが一体となって仕事を推し進めたい。それを高いレベルで実現するチャンスがここにはある。このチームを率いることに興奮が抑えきれない」

ケビン・デュラントとデビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールの『ビッグ3』を擁してもサンズは勝つことができなかった。前任者のフランク・ボーゲルは守備的なバスケを志向するコーチで、良い仕事をしたが彼らの才能を生かせたとは言い難い。「彼らの役割をより良いものに整理し、ベストな状態に置くことが私の仕事だ」とブーデンフォルツァーは言う。

20代からグレッグ・ポポビッチの下でアシスタントコーチを務め、ヘッドコーチとしてホークスとバックスを率い、ヤニス・アデトクンボを擁するバックスにNBA優勝をもたらした彼は、攻撃的なバスケを志向する。スペーシングを重視して3ポイントシュート多用し、スペースを広げることでスター選手の個人能力も最大限に引き出す。

「3ポイントシュートが多いことで生まれるあらゆる価値を伝え、選手たちがそれを受け入れられるようにする。どうすれば勝てるのか。3ポイントシュートはその一部だと思うし、早い段階からそれを伝えていくつもりだ」

そしてブーデンフォルツァーは、サンズにかかわるすべての人が望んでいる言葉を口にした。「みんな優勝争いをしたいし、ここフェニックスにはそのチャンスがある。それはデビン、ケビン、ブラッド(ビール)から始まるが、チーム全体で競争心が高く、誇りを持ち、無欲であることも必要だ。ここフェニックスで優勝争いができると感じているし、それを楽しみにしている」

「もちろん、ここで優勝の話をすることに意味はない。毎日やるべきことに集中し、ベストを尽くすその積み重ねがチームをチャンピオンシップレベルへと引き上げる。選手、オーナー、フロントの間でコミュニケーションを取りながら、日々ベストを尽くすつもりだ」

「私はアシスタントコーチとして、そしてヘッドコーチになってからもそうやって過ごしてきた。毎日やるべきことに集中し、エリートチームになる努力をして、大きな期待とプレッシャーを受け入れる。そうやって選手たちと日々を過ごし、一緒に仕事に取り組む良いリズムを見いだし、何が期待されているかを理解した上でお互いに高い基準を保ち、それぞれが責任を負う。それは全員がやらなければならないことだが、まずは私自身からだ」

記者からは、デュラントとブッカー、ビールとはもう会話をしたのかという質問が出た。ブーデンフォルツァーはそれを認めた上で「すでにチームのほぼ全員と話す機会を持った」と答えた。「会話の内容はプライベートなので伏せるが、私にとっては重要なものだった。みんな自分の経験や知識をコーチが知ってくれていることを望む。私は選手に高いバスケIQを求めていて、その3人には備わっていると思う。だから、とても良い会話ができたよ」

「偉大な選手はもっと上達したいと思うものだ。彼らは現状に満足せず、もっと良い選手になりたいと願っている。だから私は彼らと関係を築く上で厳しく指導する。それが私のNBAキャリアのすべてと言ってもいい。私は完璧ではないが、最高の選手に厳しい指導をして、多くを要求してきた。それが期待というものだからだ。そうすれば、ほとんどの場合選手は成長する。それが私にとってのメンタリティなんだ」