カール・アンソニー・タウンズ

「ようやく自分たちの大切なものを取り戻せた」

ティンバーウルブズはナゲッツとの第6戦を115-70と圧勝し、通算成績を3勝3敗のタイへと戻した。勝因は容赦なく相手を痛めつけるディフェンスを取り戻したこと。ウルブズのディフェンスに激しさだけでなく精度と集中力を取り戻させたのは、コーチングスタッフが作ったグッドディフェンスのクリップ集だった。

アンソニー・エドワーズは「あの映像を見たことで空気が変わった。流れが再び来ていると感じられた」と言い、ジェイデン・マクダニエルズは「僕らに良い影響を与えた。このメンバーで戦える自信を取り戻し、あとはコート上で実践するだけだった」と続けた。カール・アンソニー・タウンズは「この3試合で僕らに欠けていたのはチームワークと粘り強さだ。それを思い出させてくれる映像だった」と語った。

試合開始から3分間は2-9と出遅れたが、そこから29-5と驚異の巻き返しを見せて31-14で第1クォーターを終える。第2クォーターにナゲッツは立て直しを試みるも、常にウルブズが上回り、第2クォーターにも4分間ナゲッツに得点を与えない13-0のランがあった。

第5戦をふくらはぎのケガで欠場した後に復帰したポイントガードのマイク・コンリーは「2-9と出遅れても誰も慌てなかった。難しく考える必要ない、自分たちのやり方をやるだけだ、という感じだった」と話す。

第1クォーターのナゲッツはフィールドゴール22本中6本成功(27.3%)。ウルブズの高速ローテーションを上手くかわしてワイドオープンを作る場面も少なくなかったが、ディフェンスの激しさに気圧されたのか決めきれず、3ポイントシュートは9本中2本しか決まらない。さらにシュートを外しまくっているのにオフェンスリバウンドは1本も取れず。リバウンドから走る展開に持っていくことでウルブズに流れが傾いた。この時点ではウルブズが一時的にエネルギーと集中力を出しているのかと思われたが、恐ろしいことにそれは第2クォーターも第3クォーターも全く衰えず、第4クォーター開始2分のところでナゲッツは勝利をあきらめ、ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレー、マイケル・ポーターJr.をベンチに下げた。

ダブルチームを引き寄せ、空いた選手にパスを通してもシュートが決まらない展開が続き、さすがのヨキッチも打つ手なし。22得点9リバウンド2アシスト3ターンオーバーと、『らしくない』スタッツに終わっている。ヨキッチに対して殊勲のディフェンスを見せたのがカール・アンソニー・タウンズだ。ヨキッチのパス能力を考えると、毎回ダブルチームを送り込むわけにはいかない。粘り強くタウンズが身体を当ててゴール下からヨキッチを追い出し、何をするにもプレッシャーを与え続けた。そしてヘルプが来たり来なかったり。ヨキッチのリズムを崩しに行くのではなく、リズムが乱れるまでプレッシャーを与え続けた。

「ヨキッチはMVPに相応しい選手だし、正直に言うと止められる気はしない。でも、彼が少しでもプレーに難しさを感じるように、ありとあらゆる面でベストを尽くすのが僕の仕事であり、それをやりきろうと思った」とタウンズは言う。

「直近の3試合は自分たちのバスケが全くできず、もう後がない状況で、すべてを懸けて自分たちのアイデンティティを取り戻さなきゃならなかった。いきなり出遅れたけど、最初のタイムアウトで『もうミスは許されない』と全員があらためて意識したことで、ようやく自分たちの大切なものを取り戻せたように思う」

それでも、タウンズに笑顔はない。コート上での緊張感は、試合を終えてロッカールームに戻った後も続いているようだった。「この3試合は楽しくやれず、ストレスばかりだった。ここで一つ勝てたのは良かったけど、まだ仕事は終わっていない。『GAME7』で僕らウルブズのバスケを見せて、どちらが強いかを示したい」