機動力を生かした守備に手応え「アグレッシブにプレッシャーをかけることができた」

約1カ月間のバイウィーク期間が明けた3月8日、千葉ジェッツは宇都宮ブレックスと対戦。攻守ともに強度の高いプレーを見せて81-68で勝利し、リーグ最長連勝記録を21に更新した。

千葉Jは、インサイドの要であるギャビン・エドワーズが2月15日に行われた天皇杯セミファイナルで負傷し、2カ月程度の離脱を余儀なくされた。ビッグマンの不在により宇都宮に対して高さで劣ったが、その分、機動力を生かしたトラップや強度の高いディフェンスで流れを呼び寄せた。指揮官のジョン・パトリックも「ギャビンがいないことで弱くなるわけじゃなくて、違う特徴のバスケットができていた」と評価している。

また、選手の起用法も変更せざるを得なかった。そして、エドワーズの抜けた穴を埋めるキープレーヤーとなったのが、2番から5番まで守ることができる佐藤卓磨だ。5試合ぶりの先発を務めた佐藤は「ギャビンの抜けた穴は大きい」と話しながらも、「機動力が増す分、スピードを使ったディフェンスをして、アグレッシブにプレッシャーをかけることができた」と手応えを得ている。

前線からプレッシャーをかけボールマンを自由にさせなかった佐藤を筆頭に、前半だけで宇都宮に9ターンオーバーを誘発する好守を見せた千葉Jは、ディフェンスで得た勢いをそのままオフェンスに繋げた。この日11アシストをマークした富樫勇樹を中心にチームは連動し、前半終了時点で10アシスト、ターンオーバーを1に抑える隙のない攻撃を見せた。パトリックヘッドコーチはこう話す。

「相手にボールハンドリングを得意とする選手がいるかどうかを見て、アドバンテージが取れる時は積極的にプレッシャーをかけることができていました。そういったことは、ベテラン選手がよく理解してプレーしてくれたと思います。また、ウチのターンオーバーを抑えながら得点できていたので、オフェンスも結構良かったです」

そして、22分42秒の出場で3ポイントシュート2本を含む8得点を記録した佐藤は次のように試合を振り返った。「試合前から集中して良い入りができていました。いつも以上に前からプレッシャーをかけることができていたので、ギャビンがいないピンチをチャンスに変えることができたと思います。今日の勝利は大きいですが、これを継続できるように頑張りたいです」

流れを断ち切る3ポイントシュートに成功「パスを出してくれるチームメートに感謝」

この日、守備での貢献度が高かった佐藤は、千葉Jが第3クォーター序盤に0-9のランを受ける苦しい状況の中、富樫のキックアウトパスから3ポイントシュートを沈めて、悪い流れを断ち切った。今シーズンはここまで24.5%と決して高くない3ポイントシュート成功率ながら、しっかり打ち続けて決め切れた要因にヘッドコーチとチームメートの存在を挙げている。

「ジョンさんがチームに加わってから、きれいにオフェンスが展開できなくても打てると思ったらどこからでも打っていいというマインドに変えてくれました。その結果、みんなが遠慮なくシュートを狙うことができていると思います。また、どんなに入っていなくても信じてパスを出してくれるチームメートにも感謝しています」

また、千葉Jはエドワーズ以外にも大倉颯太や二上耀らバックコート陣も長期離脱する状況が続いている。しかし、昨年末にプロ契約した小川麻斗や先日、特別指定選手のプロ契約を結んだ米山ジャバ偉生ら新戦力がその穴を埋める活躍を見せている。そして、この日も小川が連続3ポイントシュートを決めるなど存在感を放ち、佐藤も彼らの活躍を称えた。

「ケガ人が出てチーム状況が変わっている中、麻斗やジャバだったり若い選手がローテーションに入ってくれて、チームを違う雰囲気にしてくれています。この先も新戦力の選手たちの存在が大事になってくると思うので、チームで中間の年である僕が潤滑油になれるようにしたいです」

佐藤は「今の結果に満足せず、リーグを引っ張るチームになれるように頑張りたい」と、リーグの連勝記録を更新する偉業を達成してもなお、満足する様子はなかった。佐藤だけでなく、全員がステップアップを目指している千葉Jは、目標である3冠達成の1つ目のタイトルである天皇杯が目前まで迫っている。「肩に力を入れ過ぎず、自分たちのいつも通りのバスケットをすれば結果はついてくると思います。ブースターの皆さんが楽しみにしている3冠を達成するチャンスなので、全員が楽しんでプレーしたいです」

こう意気込んだ佐藤が、今回の試合と同様にファイナルでもディフェンスで存在感を見せつつ、要所で得点する活躍ができれば4年ぶりとなる天皇杯優勝は大きく近づくだろう。