強靭なフィジカルとアウトサイドシュートを兼ね備えるフィリピンの逸材

2月16日、琉球ゴールデンキングスはアジア特別枠で獲得したフィリピン出身のカール・タマヨの入団会見を行った。202cmのフォワードである22歳のタマヨは、東京五輪最終予選、ワールドカップ2023予選、昨年のアジアカップなど、すでに豊富な国際経験を誇るフィリピン代表の次代を担う逸材だ。アジアカップでは、日本とのベスト8進出決定戦に出場し10得点3リバウンドを挙げている。多くの実績の持ち主であるだけに、大学卒業を待たずにプロ転向を果たし、琉球で新たなスタートを切る今回の会見には、オンラインでフィリピンのメディアも多数参加。母国での関心の高さもうかがい知れた。

会見の冒頭、琉球の安永淳一ゼネラルマネージャーは、「キングスにとってファイナルピースと言っても良いぐらいの選手を紹介します。恵まれた身体と幅広いシュートレンジを武器に即戦力としての活躍が見込め、若さ溢れるエネルギッシュなプレーで日本国内に限らず、フィリピンからも注目を集める逸材です」とタマヨへの期待の大きさを語る。

チームを率いる桶谷大ヘッドコーチは、次のようにタマヨの魅力を続ける。「彼はフィジカルの部分で外国籍選手と渡り合えます。そして、オフェンスではアウトサイドを期待しています。彼がスペースを作り出すことによって、周りの選手もプレーしやすくなる。特に、キングスの外国籍選手はインサイドでのプレーが得意なので、タマヨ選手がアウトサイドから射抜いてくれると、チームのバランスも良くなると思います」

指揮官が語るように、今シーズンの琉球でプレーするジャック・クーリー、ジョシュ・ダンカン、アレン・ダーラムの外国籍選手3名は、揃ってフィジカルの強さを生かしたペイントアタックが一番の強みだ。ここでタマヨが長距離砲をコンスタントに決めることができれば、リーグ屈指のパワーを誇るインサイド陣はよりプレーしやすくなることは間違いない。

「NBAではルカ・ドンチッチ選手が自分の良い教科書です」

タマヨは「勝利のために自分のできることをすべて出していきます。キングスに加入できて興奮していますし、EASL(東アジアスーパーリーグ)やBリーグでチャンピオンになるためにプレーすることが楽しみです」と意気込みを語ると、笑顔を見せながら日本語で「ありがとうございます」と締め括っている。

桶谷ヘッドコーチの評価に加え、タマヨ本人も「アウトサイドシュートを決めて、ストレッチの役割もできますし、インサイドでもプレーできると思っています」と多彩なプレーに自信を見せる。そして「NBAではルカ・ドンチッチ選手が自分の良い教科書です。彼から学ぶものは多いと思います」と、200cmを超える世界トップレベルの司令塔について言及するなど、何でもこなせるオールラウンダーを自身の理想像に掲げる。

Bリーグデビューが今から楽しみなタマヨの琉球でのデビュー戦は、3月頭に行われるEASLとなりそうだ。EASLでは外国籍選手の登録が2名までであるため、優勝を目指すにはタマヨとケガから復帰したばかりの渡邉飛勇が、4日間で3試合をこなすタフスケジュールの中、どれだけインサイドで奮闘できるかが大きな鍵となってくる。

タマヨは代表経験が豊富とはいえ、まだ若く今回が初めてのプロキャリアという点を考慮すると、即戦力としていきなり多くを期待するのは酷な部分もある。だが、桶谷ヘッドコーチが「ただのインサイドプレーヤーではないと思っています」と語るように、そのポテンシャルの高さに疑いの余地はない。若きビッグマンであるタマヨと渡邉が琉球をタイトルへと導くXファクターとなれるのか。まずは3月のESALでのプレーが待ちきれない。