A東京を苦しめた守備力「ディフェンスが武器になりつつあります」
大阪エヴェッサは前節、8連勝中と絶好調のアルバルク東京と対戦し、同一カード連敗を喫した。それでも、2戦平均71.0失点と堅守が光り、最後まで接戦を演じた。特に第2戦はA東京のフィールドゴール成功率を38.6%に抑え、セカンドチャンスポイントで2-21と圧倒されていなければ、違った結果になっていたかもしれないと思わせる内容だった。
司令塔の鈴木達也も3-18と大きく水をあけられたオフェンスリバウンドについては「終始苦しめられた」と認めたが、「相手のやりたいこと、特にセットプレーはうまく守ることができました。オフェンスリバウンドを改善できたら、もうワンステップ上に行けるし、上位チームを相手にしてもチャンスがあるなと思いました」と手応えを口にした。
そして、今シーズンから大阪に加わった鈴木はあらためてディフェンスが強みになっていると強調した。「昨シーズンまでの大阪はディフェンスが課題だと聞いていましたが、今シーズンはディフェンスが武器になりつつあります。全員がハードにフルコートでプレッシャーをかけられる選手が揃っていますし、そこを起点にして試合を作っていこうと全員に共通理解があります」
鈴木はこの試合で1本の3ポイントシュート成功を含む9得点4アシストを記録し、ターンオーバーはゼロに抑えた。「ピック&ロールを使ってリングにアタックする機会が多く、これからも良い部分をもっと出していきたい」と自身でも言うように、堅守を誇るA東京のディフェンスに屈せず、司令塔として安定したパフォーマンスを見せた。
クリエイト能力に長け、得点もできる鈴木は過去2シーズンも平均7.3得点、5.2アシストと、ポイントガードとして申し分のない数字を残している。今シーズンは5.3得点、4.8アシストとわずかに平均得点が落ちているが、これは大阪で求められる役割に徹しているからだ。
「得点をたくさん取ることよりもチームをオーガナイズすることをヘッドコーチに求められています。セットプレーを通して、チームとして戦ってほしいという方針で、僕がガンガンドライブに行くよりも、より得点確率の高い(ディージェイ)ニュービルに良い機会を与えたり、ショーン・オマラをうまく使ったり、シューターに気持ち良くシュートを打たせることにフォーカスしています」
「これからはどれだけ2勝できるか」
大阪はニュービルにボールを預けるためにチームが連動する。ただ、その過程の中でオフェンス優位なシチュエーションが生まれることも多々あり、鈴木はその一瞬一瞬の判断に頭を悩ませているという。
「チャンスがあったらアタックしてほしいとは言われていますが、そこのバランスは難しいですね実際。例えば、僕がドライブする間にビッグマンがニュービルの方へスクリーンに行っていたら何も生まれません。ビッグマンとの兼ね合いもありますし、プレーの中でバランスを見ながらやっています」
現在の大阪は17勝19敗で西地区6位。今シーズンの西地区は上位4チームが勝利75%以上と非常にレベルが高い。チャンピオンシップに進出するためには、上位チームに対しても同一カード連勝が求められるが、鈴木は今のチームが持つ力に自信を持ち、逆転でのチャンピオンシップ出場を信じている。
「正直に言って、西の上位チームとも良い試合をする、勝つチャンスは絶対にあると思っています。絶対的なエースのニュービルがいて、勝っている試合はうまくいっていますし、これからはどれだけ2勝できるかです」
上位チームの多くには勝ちパターンが存在する。クオリティの上がったディフェンスに加え、鈴木のコントロール力、そしてクラッチタイムのニュービルのパフォーマンスが噛み合えば、大阪がチャンピオンシップに進出する可能性は十分にある。