エリック・ゴードン、メイソン・プラムリー、ボーンズ・ハイランドを獲得
トレードデッドラインにクリッパーズが大きく動いた。ロケッツとグリズリーズとの3チーム間トレードでエリック・ゴードンを獲得し、ジョン・ウォールをロケッツに、ルーク・ケナードをグリズリーズに譲渡する。ナゲッツでプレータイムが伸びずに不満を持っていたボーンズ・ハイランドを複数の指名権とのトレードで迎え入れ、レジー・ジャクソンとのトレードでホーネッツからメイソン・プラムリーを獲得した。
クリッパーズはここまで31勝27敗で西カンファレンスの6位。首位のナゲッツからは8.5ゲーム離されているものの、すぐ上にいるマーベリックスとサンズとはゲーム差がなく、2位のグリズリーズでも4ゲーム差で、ここまでは射程圏内。カワイ・レナードが復帰してポール・ジョージとの両エースが並び立っても、なかなか浮上できない現状を打破するため、思い切ったトレードに打って出た。
ウォールは度重なるケガの影響から抜け出しつつあったが、ジョージ中心のクリッパーズのスタイルになかなかフィットできなかった。ケナードは勝負強いシューターとしてチーム内の地位を勝ち取っていたが、ゴードン獲得のチャンスを前にクリッパーズは、よりディフェンスの強いゴードンを選択した。ジャクソンを放出することで、ポイントガードは4年目のテレンス・マン、ゴードンとハイランドで回すことになる。
ゴードンは34歳のベテランだが、まだまだコンディションは衰えていない。6シーズン半在籍したロケッツのイメージが強いが、もともとは2008年のNBAドラフト1巡目7位でクリッパーズが指名し、ルーキーイヤーからの3シーズンを過ごした古巣への復帰となる。ロケッツはジェームズ・ハーデン移籍後は再建チームとなり、10歳ほど年下の選手たちを束ねる役割を黙々とこなしていたが、今回の移籍で再び優勝を目指すことになる。ハーデンと一緒だった時代に、スター選手がボールを保持する中でチームに貢献できることは実証済み。カワイとジョージ主体であることは変わらず、チームをグレードアップさせる切り札として大きく期待される。
センターのプラムリーはイビチャ・ズバッツとプレータイムを争う。32歳のベテランだが、ニコラ・ヨキッチと一緒だったナゲッツ時代にプレーの幅を広げ、今シーズンは28.5分の出場、12.2得点、9.7リバウンドのすべてがキャリアハイ。ズバッツ以上にオールラウンドな働きが期待できる。25歳のズバッツは伸び盛りで、信頼に足るパフォーマンスを見せているが、センターのバックアップ不在の状況で負荷が大きく、チームとしてはリスクが高かった。ガード過多でセンターが足りない課題を解決するトレードとなった。
クリッパーズはさらにバイアウト市場でラッセル・ウェストブルックと契約する可能性もある。レイカーズからジャズへとトレードされたウェストブルックは、今後はオールスターではない別の役割をこなすことになる。まずはジャズの判断を待つことになるが、ウェストブルックが現在の契約を解消して新たなチームでベテラン最低保証額での契約を受け入れるのであれば、NBA優勝を実現するためにクリッパーズに加わる選択肢はあり得る。
クリッパーズはカワイとジョージの体制になってから、パトリック・ベバリーのような強烈な個性を持つ選手を放出し、プレーの面でもキャラクターの面でも両エースをサポートできる選手を集めてきた。ウェストブルック獲得はそれとは真逆の方向性となるが、今のクリッパーズに欠けているディフェンスの強度、トランジションの勢いを十分すぎるほどに補うことができる。
レイカーズのウェストブルック獲得は失敗だったし、クリッパーズがその失敗を繰り返す可能性も低くないが、少なくとも年俸は大幅に下がり、ジョージとのプレーはサンダー時代に経験済みで、机上の計算であれば戦力は大幅にアップする。シーズン前半のクリッパーズは悪いチームではないが、優勝を狙うには物足りなかった。この現状を打破するために今回のトレードでは足りないと判断するなら、ウェストブルック獲得という勝負に出ることになる。