ボーヤン・ボグダノビッチ

トランジションバスケに向き、欠場の少ないタフな選手

ピストンズは昨年夏、解体を決めたジャズからボーヤン・ボグダノビッチを獲得した。ケイド・カニングハムを軸とする再建を推し進める攻守のキープレーヤーとして大きな期待を寄せ、加入直後に2025年までの契約延長を結んでいる。

ところが、そのカニングハムが左すねを手術して今シーズン全休となり、再建はまたも伸びることになった。ここまで12勝37敗と勝てておらず、すでに意識はビクター・ウェンバニャマのいるロッタリーへと向いている。ボグダノビッチが貴重な主力であることに変わりはないが、十分な対価が得られるのであればトレードに応じる可能性がある。

ボグダノビッチはシーズン開始の時点で「どんな状況であれ、コートに立つ以上は勝ちたい」と語り、実際にピストンズを攻守に引っ張っている。昨シーズンのジャズではドノバン・ミッチェルに次ぐチーム2位の18.1得点を記録しており、ピストンズで周囲のサポートが弱くなったにもかかわらず21.5得点とキャリアハイの数字を残している。

そのボグダノビッチの獲得をいくつかのチームが狙っている。『The Athletic』によれば、その有力候補の一つがレイカーズだ。

レイカーズは八村塁を獲得したばかりだが、ロブ・ペリンカGMは「仕事はまだ終わっていない」と明言している。チームはいまだ勝率5割に届いていないものの、アンソニー・デイビスのケガが治り、ここから始まるであろう巻き返しをより力強いものにし、プレーオフで勝つための補強をするつもりだ。レブロン・ジェームズが38歳の年齢を感じさせぬ素晴らしいパフォーマンスを見せている今、1年も無駄にはできない。ここまで使わなかった1巡目指名権をトレードに出すつもりもあるようだ。

レイカーズにとってボグダノビッチの魅力は、八村塁の獲得がそうであったようにトランジションバスケで生きる選手であること。得点力だけでなくディフェンスも得意で、そこから攻めに転じてのランニングプレーができ、3ポイントシュートも持っている。さらには何年もほとんど欠場することなくプレーし続けるタフネスぶりが、レイカーズにとっては何よりの魅力だ。

『The Athletic』は、パトリック・ベバリーにロニー・ウォーカー四世、そしてプロテクトされた2027年の1巡目指名権をオファーすることで交渉は成立すると予想している。他にボグダノビッチの獲得を狙うチームはマーベリックス、キャバリアーズ、ラプターズ、ペリカンズといったところだが、レイカーズが先の条件を提示すれば、それを上回るのは難しいだろう。

24歳のウォーカー四世はピストンズ再建のタイムラインにぴたりと合うし、ベバリーが若いチームの精神的な牽引役として突出した才能を持つことはティンバーウルブズでの昨シーズンに証明済み。レイカーズにとっては宝石に等しい1巡目指名権は、ピストンズにしたら2027年が遠い未来すぎて少々不満かもしれないが、別のトレードに活用することもできる。

八村の獲得はレイカーズにとって単なる補強ではなく、「今のチームをあきらめずに勝ちに行く」という意思表示でもある。現地2月9日のトレードデッドラインまで、レイカーズの動きから目が離せない。