「一番大事だったのはチームとしてのメンタルタフネスを40分間保ち続けること」
川崎ブレイブサンダースはホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。前日、残り25秒から4点リードを追いつかれた末にオーバータイムで痛い敗戦を喫した反省を生かし、今日は最後までメンタル面で崩れずタフに戦い続けて76-72で競り勝った。
試合の出だし、川崎は琉球のディフェンスの穴を的確に突くことで効率良く得点を重ねる。守ってはボールマンにしっかりとプレッシャーをかけ、琉球に球離れが悪い重たいオフェンスを強いることで14-5と先手を取る。だが、琉球のセカンドユニットである松脇圭志、牧隼利にドライブから崩されると、キックアウトから3ポイントシュートを決められ16-20と逆転を許す。
第2クォーターはともにオープンシュートが入らないロースコアの膠着状態となり、川崎は4点を追いかける僅差のまま前半を終える。しかし、後半に入ると、マイケル・ヤングジュニアが速攻からのアタックや3ポイントシュートなど持ち前の爆発力を発揮して開始数分で逆転に成功。ゾーンディフェンスが機能したことで琉球の強力なインサイドアタックを防ぐと、ニック・ファジーカスがタフショットを連続で沈めて54-48とひっくり返す。
第4クォーターの立ち上がり、川崎は琉球の田代直希にドライブからバスケット・カウントを決められると、直後にターンオーバーを喫しての連続失点と昨日の悪夢を思い起こさせる流れになる。だが、ここで川崎はファジーカス、ヤングジュニア、マット・ジャニング、鎌田裕也を同時起用するビッグラインナップがはまってディフェンスの強度を取り戻し、悪い流れを断ち切る。
そして、攻撃面ではジャニング、ヤングジュニアをウイングで同時起用できる強みを生かして得点を重ね、残り4分半でリードを9点に広げると、終盤に琉球の追い上げを受けるが長谷川技と藤井祐眞が要所で3ポイントシュートを沈めて粘る琉球を振り切った。
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、勝因として何よりも精神面を挙げる。「一番大事だったのはチームとしてのメンタルタフネスを40分間保ち続けることでした。昨日は誰かのミスに『何をやってるんだ』という雰囲気になったり、レフリーの笛に苛立ったりとチームが一つになっていないことが非常に多かったです。とにかく今日はチームとしてどんなことが起こっても常にハドルを組んで、一つになる姿勢が多くの時間で見られたことが良かったです」
ヤングジュニアの叱咤が導いた長谷川の3ポイントシュート爆発
この試合、勝敗を分ける大きな鍵となったのは川崎が第4クォーターに3ポイントシュート7本中4本成功に象徴されるように要所でシュートを決めたことにある。特に目立ったのは前半と後半の最初のポゼッション、2点リードの残り2分半の場面を含む長距離砲を6本中4本沈めた長谷川だ。琉球の桶谷大ヘッドコーチも「今日は長谷川君が決め切ってきて、うちはオープンシュートを決め切れなかったことが点差になったと思います」と脱帽する勝負強さだった。
シーズンハイの12得点をこの大事な一戦で挙げた長谷川は試合をこう振り返る。「昨日の負けは非常に悔しい負け方でしたが、そこから今日は切り替えて自分たちがしなければいけないことを選手とスタッフがやりました。相手に流れがいきそうな時間帯が何回もありましたが、そこでハドルを組んで切れずにプレーできたことが勝ちに繋がったと思います。個人としては、しっかり打ち切ることができました。ノーマークを決めることができて今日のパフォーマンスは満足しています」
佐藤ヘッドコーチは「これが長谷川技という試合でした」と称えるとともに、ヤングジュニアの目立たない部分での貢献も大きいと強調する。「ビッグラインナップでマイク(ヤングジュニア)がボールを持つとミスマッチが生まれるので相手のディフェンスが彼に来ます。そこで他の選手にパスを出して打たないシーンがあるとマイクは『なんで打たないんだ』と常にハセ(長谷川)だけでなく、みんなに声がけをしてくれています。今日はそういうポジティブなコミュニケーションが多いことがシュート成功に繋がったと思います」
このヤングの叱咤について長谷川は感謝していると続ける。「自分のいるコーナーが空くバスケットをしているので、そこで打たない僕が悪いですし、決めていかないといけない。それはマイクの言っている通りで、今日は打ち切ることができたのでマイクに感謝しています」
また、普段から冷静沈着な長谷川だが、今日は試合終了のブーザーが鳴り響く中、両手でガッツポーズをする程に感情を爆発させた。そこには次のような思いがあった。「いろいろな感情がありました。昨日も負けもそうですし、最近の試合はニックと外国籍選手で60点、70点と得点が集中することが多くて、いかに日本人選手が絡めるのか課題となっていた中、今日は日本人選手で得点が取れました」
今日の試合、長谷川に加えいつもはオフェンスにほとんど絡まない鎌田も2本の3ポイントシュートを沈めた。これまでのプレーぶりを見れば長谷川と鎌田で3ポイントシュート8本中6本成功は琉球にとって想定外の出来事だったはずだ。だが、2人は以前から非凡なシュート力を見せており、こういう結果を出せる実力は持っている。彼らがこの積極性を維持していくことで、川崎のオフェンスはより分厚いものとなり、後半戦で浮上するための大きな起爆剤となっていく。
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