Bリーグ

得失点によって勝率を予想する『ピタゴラス勝率』

この記事を開いてくれたすべての皆様、数字の沼へようこそ。自称『日本一スタッツをとる素人』である私しんたろうが、公式サイトのボックススコア(ベーシックスタッツ)から一歩踏み込んだ、『アドバンスドスタッツ』を紹介、解説していきたいと思う。

今回解説するスタッツは『ピタゴラス勝率』。バスケットボールファンにとってはあまり馴染みのないスタッツだと思うがそれもそのはず。このスタッツは野球(メジャーリーグ)が発祥で、『セイバーメトリクス(野球をデータから分析する分析手法)』 と言う言葉の生みの親でもあるジョージ・ウィリアム・ジェームズ(通称ビルジェームズ)氏によって生み出された、得失点によってチームの勝率を予想する数式(とその結果)のことである。

「バスケットボールと全く関係がないじゃないか」とお思いの方も多いと思うが少し待ってほしい。この数字をバスケットボール用に改良し、1992年に提唱したのが何を隠そうあのダリル・モーリー(セブンティシクサーズのバスケットボール運営部門代表)なのだ。モーリーを一言で表すならば、統計によって現代バスケットボールからミッドレンジシュートを排除した人である。

そのモーリーが提唱したピタゴラス勝率は以下の通り

鋭い読者の方はお気づきかと思うが、NBAとBリーグでは得点、失点、試合数が大きく異なるためこのまま適用しては大きな差分が生まれてしまう。そのため今回は、私が過去のデータをもとに独自に算出した係数10を使って計算していきたいと思う。

この係数の信憑性についてだが、私が運営するサイトで公開している21-22シーズンの勝率予想をまずはご覧いただこう。勝率の誤差はあったものの、CS出場チームを的中させることができた。

21-2230試合終了時予想順位30試合終了時予想勝率シーズン終了時実順位シーズン終了時実勝率CS出場
1位名古屋81.50%琉球87.50%
2位宇都宮78.50%千葉77.80%
3位東京78.40%川崎76.40%
4位琉球77.30%東京73.60%
5位千葉76.90%島根72.70%
6位川崎71.80%宇都宮71.40%
7位島根70.30%名古屋69.40%
8位秋田65.40%秋田57.40%
9位三河60.20%三河56.60%
10位広島54.10%渋谷55.90%
11位信州52.20%信州51.90%
12位渋谷48.90%広島50.90%
13位大阪43.20%群馬45.50%
14位北海道37.00%富山40.70%
15位群馬36.30%横浜38.60%
16位富山33.10%北海道37.50%
17位横浜32.80%大阪36.80%
18位滋賀31.70%茨城29.60%
19位茨城20.00%京都24.60%
20位三遠20.00%滋賀24.60%
21位新潟17.70%三遠17.20%
22位京都14.10%新潟13.50%

前置きが長くなってしまったが、気になる今季の勝率予想を行ってみよう。

22-2330試合終了時30試合終了時CS出場
予想順位予想勝率予想
1位名古屋82.40%
2位千葉82.20%
3位東京75.90%
4位琉球74.00%
5位広島73.60%
6位島根72.30%
7位横浜63.10%
8位信州61.50%
9位川崎59.10%
10位秋田56.40%
11位FE名古屋55.30%
12位群馬52.60%
13位三遠47.60%
14位大阪44.50%
15位宇都宮41.60%
16位京都40.50%
17位渋谷40.30%
18位茨城37.30%
19位三河36.70%
20位仙台32.50%
21位北海道27.30%
22位富山26.80%
23位滋賀14.90%
24位新潟10.90%

1月19日現在、西地区1位の広島、2位の島根がワイルドカード出場。中地区1位ではなく信州が中地区2位で出場するとの予想になった。

この数値は得失点でのみ計算がなされているため極端に言ってしまうと、接戦で敗北し大差で勝利しているチームは実際の勝敗に関係なく数値が高くなる傾向にある。そのため広島は3点差以内の勝利数が5試合とリーグで最も多いことも影響しており、信州は直近の10試合で2桁点差による勝利が続いていることも関係しているだろう。

(21−22シーズンでもそうだが)誤差が発生する大きな要因はロスターのケガである。インジュアリーリストに登録されてしまう選手も増えてきているため、「たられば」で見てもらえればありがたい。