トルコのエルドアン大統領を「今世紀のヒトラー」と呼ぶ
エネス・カンター・フリーダムは昨シーズンにセルティックスで35試合に出場したが、シーズン途中にロケッツにトレードされて契約解除となって以降はNBAから遠ざかっている。
その彼は祖国であるトルコ政府から追われる身だ。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の独裁にカンターは以前から批判してきた。トルコでは2016年にクーデター未遂事件が起き、その黒幕とされるイスラム教指導者はアメリカに保護されている。その指導者の支持者はトルコ政府から指名手配され、カンターもその一人として母国に戻れない状況が続いていた。
トルコ政府が多くの人を指名手配し、拘束する状況に対し、カンターはエルドアン大統領を「今世紀のヒトラー」と呼んできた。そのカンターは以前から国際指名手配されてきたが、今年になって状況はさらに進んだ。トルコ政府は『最重要指名手配犯』の一人にカンターを加え、彼の逮捕に繋がる情報を提供した者に最高1000万トルコリラ(約7000万円)の懸賞金を掛けたのだ。
『New York Post』の取材に応じたカンターは「今まではトルコの諜報機関の人間が僕らを追っていたが、懸賞金がかかった今はみんなに追われている感じがする。トルコ政府は僕を黙らせるためなら何だってする」とコメントしている。
カンターはアメリカ市民権を得てアメリカ政府の保護下にあり、安全な立場にあるそうだ。だが、彼は同じ立場の人たちのために口を開く。「手配されているのは僕だけじゃない。多くのジャーナリストやスポーツ選手がいて、僕ほど有名じゃなく狙われやすい人たちがいる」
カンターはアメリカの保護を受けながら、人権活動家として各国の指導者と面会したり、宗教を超えたバスケットボールキャンプを行ったりと、今も精力的に活動している。
「エルドアンがどんな人物か世界に伝えたい。西側諸国の指導者たちの独裁政権への対応は十分じゃない。地球の裏側で、人々が命や家、愛する人を失っている」と、彼は警鐘を鳴らしている。