ウルブズ4年目のシーズン、契約最終年も延長オファーはなし
ディアンジェロ・ラッセルは自らの力でキャリアを切り開いてきた。2015年に1巡目2位指名で加入したレイカーズでは評価を得られず、チーム内での人間関係も上手くいかずにネッツに移籍。ここでは彼を中心にボールと人が動くバスケを展開して結果を残すも、チームはケビン・デュラントを獲得できるチャンスが来ると、ラッセルをトレードに出した。
移籍先のウォリアーズでは『3人目のスプラッシュ・ブラザーズ』と期待されたが、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの円熟の関係に割って入ることができず、早々にティンバーウルブズへとトレードされることに。24歳にして4チームを渡り歩くことに彼は「僕が未熟だったせいだ。周囲にも問題はあったけど、結局は僕がプロフェッショナルになれなかった」と語っている。
そんな紆余曲折はあっても、彼は非凡な才能を生かしてリーグでも屈指のポイントガードであり続けた。カリーやデイミアン・リラードのように、プレーメークをしながらエースとして得点を量産するわけではないが、自分のプレーを起点にチーム全体を動かす意味では、他に類のないパフォーマンスを見せ続けている。
それでも、ティンバーウルブズで4年目のシーズンが半ばに差し掛かった今、チームを変える時期が近付いていると言える。ラッセルはミネソタの環境や仲の良いカール・アンソニー・タウンズとのプレーを気に入っているが、チームは勝てていない。特に今シーズンはルディ・ゴベアを獲得したにもかかわらず成績が上向かず、テコ入れが急務となっている。
ネッツからウォリアーズへの移籍は、4年1億1700万ドル(約150億円)のマックス契約を結んでのサイン&トレードだった。あれから3年が過ぎ、その契約は最終年を迎えている。今シーズン開幕前、ラッセルは契約延長を望んでいたが、ウルブズからのオファーはなかった。
不動の先発ポイントガードとしてチームに貢献しているものの、ウルブズはゴベアとタウンズのマックス契約を抱え、アンソニー・エドワーズとのマックス契約も視野に入れるとサラリーキャップに余裕はない。新契約を提示しなかった以上、ウルブズとしては何らかの見返りを得るにはトレードデッドラインまでにラッセルの移籍をまとめる必要がある。
ラッセルは自分の立場が不安定だったキャリア序盤の嫌な記憶があるからこそ、トレードの噂が多く出ている今の状況を好ましく思っていない。『Yahoo! Sports』の取材に対して彼は「僕の能力を活用するか、台無しにするかのどちらか。選ぶのは簡単だと思う」とコメントしている。
それでも、移籍については彼がコントロールできることではない。トレードが実現するかどうかは別として、彼が自分自身でキャリアを良いものにしていくには、周囲の雑音に左右されずに自分のプレーを続けるしかない。