勝負どころでの遂行力の高さが光り、西地区上位対決に競り勝つ

1月11日、島根スサノオマジックはアウェーで琉球ゴールデンキングスと対戦。ペリン・ビュフォードと安藤誓哉のダブルエースで合計54得点を挙げると、最後までチーム全員がそれぞれ役割を遂行してここ一番の決定力で上回った島根が81-80で激闘を制した。これで9連勝の島根は今シーズン23勝6敗としている。

島根は安藤が開始から約2分弱で8得点といきなりの爆発で10-2のランに成功。見事な先制パンチで主導権を握ると、第1クォーター終盤には琉球のパスミスを確実に得点へと繋げるなど隙のない戦いぶりで28-17と先手を取る。

しかし、島根は第2クォーターに入るとノーマークでシュートを打たれたり、ロングパスを通されてゴール下でイージーシュートを決められるなど守備に綻びが出てくる。さらに琉球の前から仕掛けるディフェンスにリズムを崩し、立ち上がりで0-13のランを許して一気にひっくり返される。だが、この危機に安藤とビュフォードが連続3ポイントシュート成功と、エースの決定力で悪い流れを断ち切って44-44で前半を終える。

後半に入ると、一進一退の攻防が終盤まで進んでいく。しかし、島根はここ一番で安藤がドライブからのタフショット、ニカ・ウィリアムスがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを決める。そして守ってはディフェンスリバウンドをしっかり取り切るなど、琉球の強力なインサイド陣に対しゴール下での戦いで互角以上に渡り合う。その結果、島根は残り2分半から一歩前に出た。そして、2点リードの残り3秒で琉球にフリースローを2本与えるピンチを迎えるが、ここでジャック・クーリーが2本目を外したことで同地区ライバルから価値ある勝利をもぎとった。

島根のポール・ヘナレヘッドコーチは、こう試合を総括する。「山あり谷ありのゲーム内容の中、逆境に立ち向かいながらディフェンスを遂行し、リバウンドをもぎとって勝利をモノにしてくれました」

「フィニッシュする選手が明確ですし、そこに対して全員がやることを分かっている」

そして25得点を記録した安藤は勝因を語る。「しっかりとスペーシングを取れたゲームでした。これが僕らの強みで、スペーシングがうまくいったことでピック&ロールもより効いたと思います」。さらに島根はわずか4ターンオーバーとミスが少なかったことも接戦を勝ち切る大きな要素となったが、この点についても安藤はスペーシングの良さが導いたものと強調する。

また、第1クォーターで3ポイントシュート3本成功を含む11得点を挙げ、第4クォーターにも6得点と要所での活躍が光った自身のパフォーマンスを次のように振り返る。「前半でしっかりと良い流れを作ることができました。後半はペリンがアグレッシブに攻めてくれて、最後に良いところでファウルをもらってシュートを決めたりできました。今日は気持ちの面で良かったです」

連勝を9に伸ばした島根は、今日の試合や1月8日に82-78で勝利した茨城ロボッツ戦など接戦での勝負強さが光る。終盤までもつれる試合を勝ち切れる理由を安藤はこう考えている。「フィニッシュする選手が明確ですし、そこに対して全員がやることを分かって準備ができている。それが接戦を勝つ確率を大幅に上げていると思います」

今日の勝利で島根は、西地区のライバルである琉球との直接対決を2勝1敗と勝ち越しに成功した。「レギュラーシーズンの1試合です」と前置きしつつ、安藤は大きな価値があると続ける。「勝った瞬間は非常にうれしかったですし、アウェーで勝ち越せたこともうれしいです。僕たちにとって非常に大きな1勝で、これをいかに繋げていけるかが大事だと思います」

安藤が強調するスペーシングの良さは、昨シーズンから中心メンバーが変わらないことによって意思の疎通が図れていることを何よりも証明するもの。チームとして確実に積み上げができていることを示した島根は、オールスターブレイク明けには名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの試合を控えている。ここでも上位対決を制し連勝を伸ばすことで、今の勢いをさらに加速させていきたい。