テリー・ロジアー

チームは下位に沈むも「この状況を変えたい」

25勝13敗のバックスと10勝29敗のホーネッツの対戦、しかもミルウォーキーでの試合となれば、バックスの優位は動かない。その無難な予想は、ティップオフから数分間で完全に覆された。ホーネッツが第1クォーターの得点としてNBA記録に並ぶ51得点を挙げ、それ以後のクォーターもきっちり上回って138-109の完勝を収めた。

第1クォーターのホーネッツはフィールドゴール29本中20本成功、外した9本のうち5本はオフェンスリバウンドを取って次の攻撃に繋げている。アシストは14あったのに対し、ターンオーバーはゼロ。特に活躍が目立ったのはテリー・ロジアーで、ヤニス・アデトクンボがゴール下でブロックショットを狙っていても迷わず飛び込み、場所とタイミングをズラすフィニッシュで次々と得点を決めた。

攻撃の起点となるラメロ・ボールは縦に速いパスを出すことでバックスの守備を受け身に回らせた。試合を通じて12アシストを記録した一方でターンオーバーはゼロと完璧なプレーメークを見せた。ビッグマンのメイソン・プラムリーは、アデトクンボとブルック・ロペスという強力ツインタワーを相手に激しく戦うとともに、器用な立ち回りも見せて第1クォーターだけで4アシストを記録。バックスの強みを消す意味で大きな仕事をやってのけた。

ヘッドコーチのスティーブ・クリフォードは、4試合連続でロードゲームが続く遠征の初戦となるこの試合を前に、「このチームにはどこが相手でも良い試合をできる力があるはずだ。それをコートで示してこい」と選手たちに檄を飛ばしたそうだ。

ホーネッツの面々は、その通りのパフォーマンスを見せた。ロジアーは試合後、「自分たちの才能は分かっている。この遠征では成績を気にせず、ハードにプレーしてベストパフォーマンスを見せ、この状況を変えたいと思っている。ひとまず今日は、そんな仕事ができたはずだ」と語る。

ロジアーはシーズンハイの39得点を記録。常に積極的に攻め、難しいシュートも次々と決める素晴らしいパフォーマンスだったが、彼はこれを「コーチやチームメートが僕を信じてボールを預けてくれた結果だよ」と語る。「彼らのおかげで、僕はどの試合でも自分らしくプレーすることができる。大事なのは『自分らしさ』で、それを忘れないようにしているんだ。でも、もっともっとやれると思っている」

貴重な勝利を挙げたものの、11勝はピストンズとならんで東カンファレンスで最も低い数字で、勝つよりもドラフト指名権を狙いに行くのがホーネッツの方針だろう。それでもケガで出遅れたラメロ・ボールがコンスタントに試合に出るようになって3週間、ケミストリーは試合を重ねるごとに向上している。若いチームが良い経験を積んでどのような成長を見せるのか、ホーネッツはまだまだ『伸びしろ』が大きい。