ジェレミー・ソーハン

ディフェンスとリバウンドでチームに貢献「自分にできるベストを」

スパーズは今年のNBAドラフトで3つの1巡目指名を持っていた。9位指名のジェレミー・ソーハンは開幕からスタメンに定着し、20位のマラカイ・ブランナムもローテーションに入り、ここ2試合連続で2桁得点と調子を上げてきた。25位指名のブレイク・ウェスリーは膝のケガで出遅れたが、ようやく治ってGリーグでの試運転を終えている。再建段階にあるスパーズでは、ルーキーであっても即戦力として出場機会が与えられ、その中で選手たちは経験を積んでNBAに慣れていく。

大事なのは良いチャレンジをして、失敗から学ぶこと。そのプロセスの中にあるのがソーハンだ。粗削りではあれど攻守にエネルギーに満ちたプレーを見せている彼は、デニス・ロッドマンと比較されている。

マイケル・ジョーダンのブルズ黄金期の印象が強いロッドマンだが、ブルズに加入する前の2シーズンをスパーズで過ごした。粗削りなファイターだったピストンズ時代からステップアップし、ディフェンスとリバウンドのスペシャリストとしてのスタイルを確立したのがスパーズ時代で、髪を染めて奇抜な言動で注目を集めるようになったのもこの時期だ。

ソーハンは『ロッドマン式』に短い髪を派手に染めている。今はメキシコシティでのNBAゲームに合わせた鮮やかな緑色だ。激しいディフェンスと絶対に譲らないリバウンドの強さもロッドマンを彷彿とさせる。背番号10を選んだのも、ロッドマンを意識したのだろう。ただし、欠点も似てしまっている。ロッドマンのような『お騒がせ男』でなかったのはグレッグ・ポポビッチにとって幸いだったが、シュートが下手なのはロッドマンの時代ならいざ知らず、今のNBAでは大きな問題だ。

3ポイントシュート成功率は18.4%で、フリースロー成功率も42.9%とひどい数字。それでもポポビッチは「まだ成長の途中だから」と、失敗しても何か学びを得られればいいと考え、それよりも攻守にエネルギーをもたらすソーハンの長所を見てほしいと言う。

そのソーハンは12月19日のロケッツ戦で、フリースローの打ち方を大胆に変えてきた。ボールを支える側の手を使わないワンハンドだ。これはかつて、同じくフリースローが思うように決まらず苦しんだロッドマンも試した方法。ロケッツ戦の試合前のシュートアラウンドでソーハンはこの方法を試し、試合でも使った。

結果は4本中1本とさして効果はなかったが、シューターのダグ・マグダーモットはソーハンの姿勢を高く評価している。「大事なのは自信を持って打つこと。そしてフリースローを打つことを恐れず、積極的にファウルを取りに行くことだ。フリースローを外しても全く動じないのがジェレミーの良さだ。それに今日は3ポイントシュートが1本決まったから、彼の気分も上がるだろう。素晴らしいディフェンダーだし、リバウンドにも強い。すごい選手であることに変わりはないよ」

ソーハンによれば、シュートアラウンドで試していると、ポップとアシスタントコーチのブレッド・ブラウンから試合でもワンハンドで打ってみろ、と言われたそうだ。フリースローの確率が上がらない現状で、セオリーとは違うシュートを打つことは世間の嘲笑を買うかもしれない。だが、ソーハンはそれを意に介さない。

「これからも練習して続けていくつもりだ。彼らのようなレジェンドが僕に時間を割いてくれるのはありがたいし、僕にとっては大きな意味がある。僕に何かを感じて評価してくれているのが分かるから、僕としては自分にできるベストを尽くしたい」とソーハンは言う。

「ケガとか体調不良が多かったけど、ようやくチームが揃って戦えるようになってきた。僕たちは全員で学び、成長する。それが大きな助けになっている。今のバスケはマルチポジションで、今の僕はセカンダリーポイントガードのようなプレーをしている。サイズの割にドリブルができるのが僕の持ち味だとポップコーチが言うのであれば、僕はそうするつもりだ」